子どもの送迎はバス会社が担当

── 大原さんは現在、小学校に通う子どもたちの送迎を担当しているとのことですが、アメリカでは基本的にバス会社が小学生から高校生までの送迎を行うそうですね。

 

大原さん:
公立の小学校に通う子どもたちの送迎をしていますが、それぞれの郡にスクールディストリクトといって、日本の教育委員会のような組織があります。そのスクールディストリクトが運行スケジュールを決め、私たちのような民間会社に運行を委託します。スクールディストリクトが直接運営するバス会社もありまして、運営には税金も投入されています。官民一体で運営している形です。

 

アメリカでは、日本のように子どもがひとりで歩いて学校に通ったり電車に乗ったりすることは基本的に違法なので、必ず親や代わりになる人が送迎するか、スクールバスを利用するかになります。未就学児の場合は親が送迎をするのが主流です。

 

私たちドライバーは子どもがバスに乗ったら、降りて先生や大人に引き渡すまでの全責任を任されています。例えば学校からの距離がすごく近いなどの理由でひとりで通学させる場合は、親と学校の許可が必要です。

 

車内の一番後ろにボタンと、ドライバーがタブレットで読み取るためのQRコードが設置されている

── 日本では免許を持っている先生やスタッフがバスの運転を担当するケースもあります。

 

大原さん:
私の勤務する会社では必ず、スタンバイドライバーと言って、急きょ休みになった人が出てもいいようにドライバーが待機する勤務があります。日本のようにその日にドライバーがいなかったから、普段運転していない人が担当するということは絶対にありません。

 

日本でもし、ドライバーの人数を確保できないのであれば、その日のバスの運行自体をやめるくらいのことをしても良かったのかもしれません。もちろん親御さんは困るかと思いますが、最悪な事態を徹底的に防ぐには、きっぱり断ることも必要なのではないかと思います。