労働時間短縮と給与維持の両立を目指した10年

── 給与を維持したまま労働時間を短くするために、具体的にどんな取り組みをしたのでしょうか。

 

菅原さん:
ドライバーへの給与は時給と歩合給で構成されています。採算の合わない仕事からの撤退や労働時間を減らしながらも運賃を引き下げないような地道な交渉を続けることにより、利益を確保し給与を保持できるよう努めてきました。

 

その結果、会社としての売上げは減らしながらも利益率を高められるように努力をして、給与は維持しながら労働時間を短くする形を実現しました。

 

── 10年かけて理想の環境をひとつ実現したことで、従業員からはどのような反応がありましたか?

 

菅原さん:
成果が表れた頃、日東物流でも20年ほど勤務している超ベテランのドライバーから「こんなに働く時間が短くなったのに給料が変わらない、むしろ上がっているかもしれない。昔と比べたら天国だ」って言われたんです。すごく嬉しかったですね。

 

トラックを運転する日東物流のドライバー
トラックを運転するドライバー

健康に関心が低いドライバーの意識改革も

── 健康経営でも成果を出されているそうですね。

 

菅原さん:
はい。トラックドライバーは時間が不規則になりやすく、運転中は長時間同じ姿勢になりがちで、健康上のトラブルを抱えている人は少なくありません。その要因には健康に対する意識の低さもあって、日東物流では、一人ひとりの意識向上のための取り組みに力を入れてきました。

 

もっとも大事にしているのは、本人たちに自分の健康状態を自覚してもらうことです。自分の健康状態に興味を持ってもらい、問題があればそれを改善してもらいます。

 

そのために、管理職や栄養士との面談、また健康診断でもし再検査が必要になればその結果を必ず会社に報告させるなど、健康管理を徹底しています。また、従業員が普段飲んでいる薬の成分などを、会社側でも把握するようにしています。薬のなかに眠気を伴う可能性があるものは医師に相談のうえ代替薬品に代えてもらうこともあります。

 

栄養士と面談する日東物流のドライバー
栄養士と面談するドライバー

2018年から始めた喫煙キャンペーンでは、たばこを吸わない人、禁煙宣言をした人には金一封として1万円を支給するのですが、以前は7割を超えていた喫煙率を4割程度まで減らすことができました。

 

そのほか、3年に1度の脳ドックと無呼吸症候群の検査などは全額会社負担で、がんや脳梗塞などの検査も含めたオプション検査は会社が費用を半額負担しています。普段から従業員一人ひとりの健康を会社が気にかけることで、社内に自身の健康を気遣う雰囲気が育っているのを感じています。

 

その証拠に、病気の早期発見がとても増えたんです。健康経営を始めた頃は、「病気が見つかった」という人が多くて、なぜだろうと疑問だったのですが、病院で検査をする習慣が身についたことで早期に発見できる確率が高くなっていたんですね。

 

実は、この7月にもがんの手術をして1か月ほどで職場復帰した従業員がいるんです。また元気に働いている姿を見ていると、健康経営を続けて本当によかったと思います。