色が変わる、固まる、ふくらむなど、科学の要素を取り入れた「サイエンススイーツ」の考案者として活躍する、ケーキデザイナーで芸術教育士の太田さちかさん。プライベートでは3人の子どもを育てる母として、忙しい日々を送っています。もともとは会社員だった太田さんが、現在のように活躍するようになった原点とは?
親子で楽しめる場所が欲しくて
──「サイエンススイーツ」の考案者として活躍されていますが、現在はどのようなお仕事を中心に行っているのですか?
太田さん:
「My little days」という子どもと親が楽しめるアトリエを運営しており、そこでケーキデザイナーや芸術教育士として活動しています。
自宅や催事場で参加型ワークショップを開催することが多く、そこで話題になったのが科学の要素を取り入れて実験のようにお菓子作りが楽しめる「サイエンススイーツ」です。
ワークショップでは、ギミックケーキや名作や名画のケーキ、絵本のお菓子など、親子で楽しめるさまざまなスイーツを提案しています。現在はコロナ禍ということもあり、ワークショップはオンラインや少人数制で開催していますが、地域問わず、数多くの方が参加してくれています。
他にも「SACHI&CAKES」というオリジナルスイーツブランドを立ち上げ、ウェディングやパーティ、ケータリングや撮影用のオリジナルケーキをプロデュース。コラムニストや京都芸術大学大学院の非常勤講師としても活動しています。
プライベートでは中2の長男、小6の長女、小3の次女の母親です。
── かなりご多忙ですね。アトリエ「My little days」を立ち上げたきっかけはなんですか?
太田さん:
実は私が現在のようなワークショップを始めたのは、親子で楽しめる場所が当時の日本には少ないと思ったのがきっかけです。
独身時代にパリに留学していたことがあったのですが、パリには親子で楽しめる場所がたくさんありました。でも日本って子どもを連れてレストランや美術館に行くのは難しいし、公共の乗り物でも子どもが騒ぐと冷たい視線を浴びることも。
私が長男を出産した14年前は親子で出かけるというのは、せいぜい児童館くらいでした。閉ざされた世界でお母さんが子育てをし、親子でどことなくフラストレーションを抱えている。そんな状況に違和感を覚えるようになりました。
「子どもが主体となって遠慮なく楽しめる場所が欲しい!」と、あるとき友達とハロウィーンパーティを開催したんです。すると、友達が友達を呼び…という感じで、なんと100人もの親子が集まりました。
── みんな、親子で楽しめる場所を求めていたんですね。
太田さん:
そうだと思います。当日は子どもたちと仮装したりと、みんな楽しんでいました。
そこでこれからもこういう場を提供できたらと思ったのですが、私はパーティやイベントを行いたいわけではないなと。そこで得意なお菓子作りを活かして、ワークショップを行うことにしました。