子どもの体の声に寄り添い「大丈夫」を増やしていく

ご相談者様のお子さんに今必要なのは、周囲の大人がお子さんの体の声に寄り添い、呼吸を合わせようとする努力です。まずは、今この瞬間のお子さんの体の様子や表情を見てあげてください。

 

背中をさするなどお子さんの体に触れ、伝わってくるものを感じ取ること。そして、「あなたはあなたでいい、大丈夫。元気になって動けるようになるから安心していいよ」と声をかけてあげてください。

 

「頑張ろうと思っているけど疲れている感じなのかな」と、お子さんの苦しさを自分なりに言語化してあげてもいいと思います。とにかくお子さんの状態に寄り添い受け止めてあげることが重要です。

 

画像はイメージです

そのうえで、元気が出てきたらできそうなことを話し合っていきましょう。でも、「これをやりなさい」「やり始めたなら最後までやりなさい」というスタンスは絶対にだめ。「これをやってみる?」「ここまでならできそう?でもやれなかったらやめてもいいからね」と、本人の「大丈夫」を一歩ずつ増やしていってあげてください。

 

今限界がきただけで、低学年の頃からしんどさが始まっていたのかもしれません。だから頑張るのではなく、「大丈夫」をいかに育てていくかが大切になります。本人の中で「何とかなりそう」と思える感じがたまっていくと、しんどさが中和されていくはずです。

 

しかし、いつどの程度動き出すかは、本人が決めること。とくに思春期の入り口である小学5年生ですから、周りの大人がスケジュールや手順を決めてその道を歩かせようとすれば、失敗します。

 

幸い、学校はその点についても理解されていると感じます。先生方やスクールカウンセラーの方々から謙虚に学び、連携しながらお子さんに寄り添っていただきたいなと思います。

 

PROFILE 小川大介さん

教育家・見守る子育て研究所(R)所長。京大法卒。30年の中学受験指導と6000回の面談で培った洞察力と的確な助言により、幼児低学年からの能力育成、子育て支援で実績を重ねる。メディア出演・著書多数。Youtubeチャンネル「見守る子育て研究所」。
取材・構成/佐藤ちひろ