役を演じ分ける秘訣

── 出演作ごとにガラッとイメージが変わる印象があります。

 

細田さん:
先日、ある現場で、長く知っている方から「今の顔、初めて見た。他の現場では見なかった顔、面白い!」と言われて。

 

僕は何か意識してやっているわけでなく、ただ役を演じているだけなのに、新しい表情と感じてもらえたことがすごくうれしかったです。表情はかなり研究しています。

 

参考にしているのは漫画で、今、練習しているのは、片眉を上げる表情です。

 

ちょうど今撮影中のドラマでその表情がめちゃくちゃ上手なのが鈴木保奈美さん。コツを訊きたいけれど、僕は現場でいろいろな話をするのがあまり得意じゃなくて。

 

せっかくの機会だからお芝居について話したい、と思うけれど、今は世間話で止まってしまうことが多いです。ちょっと恥ずかしがってしまいます。人見知りも発揮しちゃうし(笑)。

 

細田佳央太さんは演技で印象が変わると評判

── では、最後に。細田さんが役者をしていくうえで支えになっていることや言葉があれば教えてください。

 

細田さん:
「一生懸命やること」。これは映画『町田くんの世界』からずっと心掛けていることです。

 

僕にとってあの作品は特別で、作品への愛情は監督と同じくらい持っていたいと思うきっかけにもなりました。

 

芝居をしているときは「こう見られたい」と思うのではなく、作品をよくするためにやれることを一番に考えたい。だから、自分の中の100%の力を出し切って、一生懸命に向き合っています。

 

作品の中に役としてしっかり存在したいので、僕の名前は覚えてもらわなくていいとさえ思っています。


── 作品ごとにまったく違う印象なので、細田さんが演じたキャラクターを並べて、この役とこの役は同じ人、と祖母に説明したことがあります。

 

細田さん:
すごくうれしい反応です。僕としては、役名で覚えてもらえれば大満足です。

 

実際、行きつけの居酒屋さんでは「カブトムシくん」と呼ばれたりしています(笑)。役名や作品の中のキャラクターとして覚えてもらえるのは最高に幸せです。

 

PROFILE 細田佳央太さん

俳優。2001年生まれ、東京都出身。映画初主演作は『町田くんの世界』(19)。2021年ドラマ「ドラゴン桜2」で注目を集める。2022年「もしも、イケメンだけの高校があったら」でドラマ初主演。2023年は大河ドラマ「どうする家康」の出演も控えている。

取材・文/タナカシノブ スタイリスト/岡本健太郎 ヘアメイク/菅野綾香