200種類以上の「ご当地そうめん」を試食
── 日本各地を回って、ご当地そうめんを流すこともあると伺いました。そうめんの種類にも詳しいのですか?
上田さん:
もちろんです!仕事で地方に行った際に立ち寄ったり、時期に合わせた産地に行くなど、全国のそうめん産地巡りもしていますよ。製麺所の方にもお会いする機会があり、徐々にその世界にものめり込んでいきました。
── そうめんはどのくらいの種類があるのですか?
上田さん:
正確な数は分かりませんが、私は今までに200種類以上は食べてきましたので、少なくとも200種類はありますね。
そうめんの4大産地と言われているのが、奈良の三輪そうめん、香川の小豆島そうめん、兵庫の播州そうめん、長崎県の島原そうめんです。たとえば「揖保乃糸」って有名だと思うのですが、あれは播州そうめんの一種。播州そうめんとひと言で言っても、そのなかに何種類ものそうめんがあるんです。
原料は小麦が基本ですが、そこにオリーブオイルが練りこまれているなど、地域によって特色はそれぞれ。食感、喉越し、太さなどまったく異なります。
そうめんは同じものを買いがちですが、種類がたくさんあるので、自宅で食べ比べするのも楽しいですよ。
── 一概にそうめんと言ってもいろいろあるんですね。
上田さん:
そうですね。そうめんというと乾麺のイメージですが、小林甚製麺の「冷凍 島原手延べ生素麺」は乾燥前の生麺を冷凍しています。もちもち食感で他のそうめんとはまったく違います。
また小豆島手延素麺協同組合の「島の光」というそうめんがあります。赤帯、黒帯などランクがあり、なかでも金帯が格別。生産数が少なく、小豆島の名産のゴマ油が練りこまれています。食べたときにほのかにゴマ油の香りがして、食べ比べると違いを感じられますよ。
そうめんは冬に乾燥させて、夏に販売するのが一般的ですが、夏にしか作っていないそうめんもあります。「和泉手延長そうめん」がそれですが、半生麺の珍しいそうめんが夏限定で食べられるので、時期を狙って訪れています。
── 製麺所の方とおつき合いも増えたのではないですか?
上田さん:
流しそうめんのイベントでご当地そうめんを流したくなり、製麺所にお問い合わせするなかで、たくさんの生産者の方と交流が生まれました。
ただそうめん業界も高齢化が深刻で…。後継者がいなく、今の代で終わりという製麺所も多いんです。
あの味がいつか食べられなくなるかも…と思うととても寂しいものがあります。このような現状についてもイベントを通して広めていけたらと思っています。
8月後半に大阪の阪急百貨店で、40種類以上のそうめんを販売するイベントを行う予定です。流しそうめんの魅力はもちろんですが、そのような場でまだまだ世間に知られていないそうめんを広めることで、製麺所の後継者問題の解決につなげていきたいと思っています。
取材・文/酒井明子 写真提供/世界流しそうめん協会