大学在学中に訪れたスナックにハマり、そのままアルバイトを始めた坂根千里さん(23歳)。卒業後は、企業に就職しキャリアを積む予定でしたが、気づけば引退するママの後を継ぎ、新卒で「スナック水中」のママに!働くまでの経緯や、そこに至るまでの気持ちの変化について聞きました。
初めてのスナックは“場違い”だけど“居心地がいい”?
大学時代、知人に「すなっく・せつこ」(坂根さんがママを務める「スナック水中」の前身)に連れて行ってもらったのがスナックとの出会いでした。
「初体験の私にとっては、すべてがおどろきの連続でした。煌々と光るネオンの下、半地下のお店の重い扉を開けると、薄暗い店内には、常連のお客さんの歌うカラオケが響いていました。
いかにも昭和っぽい雰囲気に呑まれ、“私、場違いすぎる…?”と、おじけづいたものの、ママはにこやかに迎えてくれました」
緊張しながらカウンターに座り、ハイボールを飲んでいると、ママから「せっかく来たんだから、何か歌ったら?」と思いがけないお誘いが。
はじめての場所、しかも初対面の人ばかりのなかでカラオケなんて…と、動揺しつつも断り切れず、必死で曲を探す坂根さん。
「なんとか歌いきってホッとすると、常連客の方が“人の歌なんて誰も聞いてないんだから、好きに楽しんだらいいんだよ”と、話してくれました。
たしかに店内を見渡すと、私を見ている人なんて誰もいない。ひとりの時間を楽しむ人、おしゃべりする人、カラオケで熱唱する人など、思い思いの時間を過ごしていました。
ふだんの生活のなかでは、初対面の人の前でカラオケを歌うとか、接したことのないタイプの人の話を聞くことって、ほとんどないじゃないですか?それがスナックでは当たり前。
まわりの目を気にせず、自分のペースで楽しめばいいのが新鮮で、肩の力が抜けました」
はじめてのスナック体験に目を丸くする坂根さんに、せつこママは「あなた、ニコニコして楽しそうね。来週から働いてみない?」と声をかけました。