たとえば、力を入れたいプロジェクトが終わるまでは集中して働いて、その後たっぷりと休みを取る。通信サービス事業などを推進する株式会社 ALL CONNECTでは、そんな自由度の高い休日選択制度を行っています。
では、なぜ社員が自分で選択できる休日制度をつくったのでしょうか。社内での変化や課題も含めて人事部の方にお聞きしました。
資格勉強や育児など目的に合わせて休む日数を決める
── 厚生労働省によると、いち企業の年間休日総数は平均 110.5日となっています(※)。これと比較すると最大で150日の休日は多い印象なのですが、休日選択制度の特徴を教えてください。
人事部:
大きな特徴は、1年に1回、年間休日を自由に減らしたり増やしたりできることです。たとえば、今年は資格の勉強に集中したいから年間休日を140日にして所定休日は勉強のために時間を充てるという使い方ができます。そうした場合、翌年はその資格を活用して社内でもっとキャリアアップしたいと、年間休日を107日に減らして仕事を頑張ることもできます。
子育て世代の従業員は、お子さんの成長に合わせて年間休日を変動させることも可能です。
── 収入はどうなるのでしょうか?
人事部:
選択した年間休日によって、ひと月あたりの収入は変動します。ただ実績に対する待遇はどの年間休日でも同等に受け取ることができます。
── 実働と実績で公平に評価されて収入が決まるのですね。なぜ、こうした年間休日の選択性が始まったのですか?
人事部:
ALL CONNECTでは、常に社員が成長するための環境を整えていたいと考えています。「どこにでも通用する人材を育て続ける」という経営理念に基づいて、これまでさまざまな人事制度改革を行ってきました。年間休日選択制度もそのひとつとして、2020年7月に導入したものです。
働き方の多様性や流動性が増すなかで、働き方の選択肢が広がっています。その一方で、企業側もよりよい人材を得るための選択肢が増えています。働く人が市場から選ばれるためには、その人自身が成長し続けることが必要不可欠だと考えています。
社員一人ひとりが企業に選ばれる実績を積み重ねていけるように、ライフステージが変化する中でも途切れることなくキャリアを築いていける人事制度を目指しています。
評価制度の基準を「1か月」から「1時間」の実績に変更
── 年間休日を社員が都合に合わせて変動できるのは魅力的ですが、導入の際には何か課題はなかったのでしょうか。
人事部:
年間休日が増えれば、単純に稼働時間は減ります。だから、いかに生産性を落とさずに、社員全員の希望を叶え続けるか、生産性を落とさない仕組み作りや生産性を定点観測していく方法を確立させることが必要でした。
そこで見直したのが、評価制度です。それまではチームの営業目標を「月間獲得件数X件」としていたのを、「1時間あたりX件」と新しい生産性指標に変更しました。つまり、視点を1か月から1時間へ変えることで、日数に捉われず、効率的に実績を上げていくことに意識を集中させたのです。
こんなふうに高い生産性の維持と従業員のライフワークバランスの実現を両立できるように環境を整えていきました。試行錯誤を重ねつつ、最近では、社員一人ひとりが働きやすさを感じながらキャリアアップできるような体制づくりも進んで、この制度自体、自然と運用できるようになってきたと思っています。