ペットの介護など気持ちを受け止めてもらえた
── ペットを介して楽しそうに会話をするみなさんの姿が思い浮かぶようです。続いて、実際にペットを連れて出社されている社員の方にお聞きします。佐藤さん(仮名)は、いつ頃から、どのくらいの頻度でペットと一緒に出社しているのですか?
佐藤さん:
ペットと一緒に出社できる制度に惹かれて2016年に入社してから、月1回くらいの割合で出社していました(コロナ禍後は回数を調整)。人間より寿命が短いペットにとって、1日10時間近い留守番の時間は、人間より長く感じられるはずです。オフィスで働いている間も一緒に過ごせる環境はとてもありがたいですね。
── 今まで嬉しかったことや、この環境に助けられた経験はありますか?
佐藤さん:
現在1歳のダックスフントと暮らしていますが、その前は、12歳のダックスフントと暮らしていました。12歳のダックスが病気になって、つきっきりの看病が必要になったときは、上司や会社の理解があったことで長期の在宅勤務が可能になりました。
その間、仕事を休むことなく愛犬をサポートできたことで愛犬が元気を取り戻したときは、ペットの存在を理解してくれる会社に感謝しました。ペットロスになったときも、その気持ちを受けとめてもらえる会社やチームのみなさんに救われました。新しい子を迎えるときには、みなさんが喜んで歓迎してくれたこともとても嬉しかったです。
── 私も愛犬に救われることがあるのですが、会社やチームメンバーからも犬への愛情が感じられると嬉しいですよね。ペットと同じ空間で働けることも、普段、適度にリフレッシュできそうです。
佐藤さん:
疲れてイライラした日も、愛犬がモフモフでかわいい顔で私を見てくれていると自然と気持ちが穏やかになっていくんですよね。
また、仕事の休憩中や会議の合間なども、愛犬とコミュニケーションを取ることができるので癒やされるし、気分を切り替えることにもつながっています。優しくておっとりした性格の男の子に育ってくれているので、これからも元気に長生きしてもらいたいなと毎日願っています。
ペットとの過ごしやすさをより追求していきたい
── 続けて、中村さんにお聞きします。今後、この制度で何か新しく始めたいことはありますか?
中村さん:
コロナ禍で原則在宅勤務体制を採用して、オフィスの役割を見直し、ハイブリッドワークを推進することとなりました。そのため、それまでのように毎日多くの人がオフィスに出社して業務に取り組む状況ではなくなりました。
そうしたなか、「ペットフレンドリーオフィス」の良さを活かせる方法として、ペットを連れて出社した日には過ごしやすさを感じられるようなオフィスづくりに力を入れています。
例えば、ペットと出社した際、執務エリアにペットがリードなしでいられるエリアを作っていたり、リードをひっかけられるフックのあるデスクを置いたりなど工夫をしています。
最近は、オフィス内で「犬と学ぶトレーニング」を行いました。初対面の犬に指示を出して、その指示どおりに動いてもらうためにはどうすれば良いかなどグループで話し合っています。また、この時間は、犬とのコミュニケーションを通じて、人と人とのコミュニケーションでも気を付けられることを学ぶ機会にもなっています。
ペットと一緒にいられるオフィスだからこそ実現できることを今後も考えながら試して、ペットも人も居心地よく過ごせる環境をつくっていきたいです。
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「ペットフレンドリーオフィス」は、働く人たちの前向きな行動のきっかけにもなっているようです。ペットに対する思いやりを通して仲間や仕事との関係も豊かになっていく、そんな環境がもたらす可能性がもっと社会に浸透してほしいと感じました。
取材・文/高梨真紀 写真提供/マース ジャパン リミテッド