「ミートボール」の価格を改定「でも、大きさや粒数は変えない」

── お子さんがいる家庭にとっては「イシイのおべんとクン ミートボール」はとくに常備したい食材だと思います。1979年のリニューアルから、大きさも10個という粒数も変えていないそうですね。そこにはどんな思いがあるのでしょうか。

 

石井さん:
今、商品の中身を維持することは、私というよりも前社長とお客さまとの信頼関係を守ることだと考えています。

 

今年7月、原料高騰などや円安による価格改定の発表をしましたが、改定前には石井食品としてできることはすべてやろうとさまざまな改善を進めました。

 

そのうえで、どうお客さまにお伝えするかを慎重に考えて、発表に至りました。会社のポリシーとして個数も大きさもソースの量も、1979年からそのまま変えないでいくことを決めています。

「イシイのおべんとクン ミートボール」のお弁当の調理例
「イシイのおべんとクン ミートボール」のお弁当は子どもを中心に人気

子どもにたくさん食べてほしいから

── ご自身が父親になり、育児を経験していることが商品開発などに活きていると感じることはありますか?

 

石井さん:
親になって、改めて加工食品の重要性を体感しています。やはり子どもがいて、毎日子どもに「楽しく食べさせなければ」と思うなかで、すべて手作りができるかといったら、幼い子どもの育児と仕事を両立する父親としても無理だと感じることが多いんですよね。

 

それでも、手作りに近い食品を子どもに食べてほしい。これは純粋な思いです。もちろん手作りする時間と体力をキープするのが理想ですが、どうしても体力的に疲れてしまうこともありますよね。そんなときにどんな加工食品を使うかはとても重要だと思うんです。そういった意味でも、石井食品の商品はすごく便利だなあと改めて思います(笑)。

「イシイのおべんとクン ミートボール」をアレンジした料理
「イシイのおべんとクン ミートボール」をアレンジした料理。野菜がふんだんに摂れる

── わが家もいつも頼りにしています(笑)。

 

石井さん:
ちょうど今朝、娘に「ミートボール」を食べさせてきましたが、子どもはすごく正直なので、やはり食べる食べないってはっきりしていて。「ミートボール」を通して、いい意味で「シンプルなほうが食べるんだなあ」と気づかされます。「娘に認めてもらえてよかった」と思いますね。

 

── 子育て家庭の食生活がもっと便利になるように、何か新しい商品開発などは予定されていますか?

 

石井さん:
たとえば「とりそぼろ」は、子どもがまだ小さいと一回ですべての量を使いきることはなかなかないと思います。ゴムで留めたりする方も多いようですが、現在、パッケージにジッパーを付けられるようにできないかなど、市場テストも行い、試験的に採用を始めています。使い勝手、価格ともに手軽さを感じてもらえたらと試行錯誤しているところです。

 

── 近々、もっと家庭に寄り添った商品が誕生するかもしれませんね。楽しみにしています!

 

PROFILE 石井智康さん

石井食品株式会社 代表取締役社長執行役員。1981年生まれ。2006年6 月にアクセンチュア・テクノロジー・ソリューションズ(現アクセンチュア) に入社。2014年よりフリーランスとして、アジャイル型受託開発を実践し、ベンチャー企業を中心に新規事業のソフトウェア開発及びチームづくりを行う。2017年、祖父の創立した石井食品株式会社に参画。2018年6月、代表取締役社長執行役員に就任。地域と旬をテーマに農家と連携した食品づくりを進めている。

取材・文/高梨真紀 写真提供/石井食品株式会社