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ソフトエンジニアとして活躍後、2018年、祖父が創業した石井食品創業家3代目社長に就任した石井智康(いしい・ともやす)さん。就任から1年後の2019年10月、1か月の男性育休を取得したことが大きな話題になりました。

 

「自分にとっては当たり前の選択でした」と話す石井さんに、自身の男性育休や社内に起きた変化についてお聞きしました。

代表取締役社長執行役員の石井智康さん
代表取締役社長執行役員の石井智康さん

入社後に感じた大きなカルチャーショックをベースに変革へ

── 石井社長は、2017年、石井食品に参画されましたが、それまでのIT業界での経験から何か職場環境にギャップは感じましたか?

 

石井さん:
そうですね。最初はカルチャーショックがたくさんありました。いちばん大きかったのは、全社員がメールアドレスを持っていなかったことです。でも、製造業なので工場のラインに入っているメンバーは、メールアドレスがなくても仕事には支障がないんです。だから社内用の携帯電話も持っていない社員が半分くらいいました。

 

ただ、IT業界ではメールアドレスを持っていないことは情報共有ができないことに直結します。聞くと、重要な情報は紙面にして配っていたというので、情報共有のオンライン化を進めて効率的にコミュニケーションできる機会も増やしました。

 

── 逆に石井食品ならではの良さは何か感じましたか?

 

石井食品:
真面目でいい人が多いんですよ。元会長だった祖母が真面目でいい人で、似たような人柄の人を創業時から採用してきた蓄積なんじゃないかなって。企業文化としてそういう人が多いのは、すごく大きな強みだと思っています。

1か月の男性育休「本当はもっと取りたかった」

── 石井さんが育休を1か月取得した際は、上場企業の代表の長期取得ということで多くの関心を集めました。取得した当時のことを教えてください。

 

石井さん:
それこそカルチャーギャップのひとつなのですが、私のエンジニア仲間はみんな育休の取得は当たり前という考えで、3か月から半年くらい取って仕事を休んでいました。だから、私のなかでは当然のこととして、「子どもが生まれたから育休を取ります」と。特別に気合いを入れて取ったということではないんです。

 

── 当時は「1か月は非常に長い」という声が多かったと思いますが、その期間はどういった基準で決めたのですか?

 

石井さん:
最初、僕のなかでは3か月くらいと思っていたんです。執行役員に「育休を取ります」と言ったときに「どれくらいですか?」と聞かれたので、「3か月です」と言ったらすごく驚かれたんですよ。

 

ただ、石井食品では2週間の長期休暇の取得を推奨していて、今年の夏も僕は2週間の休暇を取る予定ですが、それを考えると育休が2週間というのは短い。しかも、長期休暇は毎年取れるものですから、それより少しでも長くしたい。そんな思いから、1か月になりました。

 

僕としては、正直「3か月取れなくて残念です」という気持ちです。短かったですね。