「Iメッセージ」変換で“私の気持ち”を直接伝える
ここでは「私」を主語にして伝えるコミュニケーション「I(アイ)メッセージ」を意識するとよいでしょう。
たとえば相談者さんの場合、ご主人がスマホを見ながら話を聞いていることに不満を感じていらっしゃいます。テレビや漫画、テレビゲームとは違って、スマホは何を見ているか分からないもの。ゲームなのか映画なのか、ニュースなのか、SNSなのか…。それだけに、スマホを見ながらの返事は、話し相手をイラっとさせてしまいます。
「いまスマホ見ないでよ!」と思わずきつい口調で責めたくなりますよね。
これは「あなた」を主語にした「You(ユー)メッセージ」です。
これを「Iメッセージ」に変換するとどうでしょうか。
「スマホを見ながら話を聞かれるって、私はイヤなんだよね」
「ずっとスマホを見ていられると、しっかり伝わっているのかなって私不安になるんだよね」
伝えている内容はほぼ同じなのですが、相手への伝わり方が違いませんか。
「Iメッセージ」で伝えることによって、きっとご主人は、「今、彼女は僕に真剣に話を聞いてもらいたいんだな」と気づきやすくなるのではないでしょうか。
長年連れ添った夫婦でも、言葉のコミュニケーションは大切です。相手に届く言葉を選ぶことができるといいですね。
PROFILE 八木経弥さん
やぎ・えみ。臨床心理士/公認心理師。心療内科や児童相談所、スクールカウンセラーなどの勤務経験のもと、開業カウンセラーとしても活動中。仕事では心理学を活用した育児の方法などを伝えている。2人の娘の母。
取材・文/大楽眞衣子