90歳まで“時給1万円の女”
10代から多くの仕事を経験した千恵子さんは、19歳のときに親の決めた相手と結婚。
新品の割烹着を持ち、嫁ぎましたが、寝る布団もなく困る状況でした。
それにへこたれる千恵子さんではありません。着物をほどいて、洗ってから乾かす、洗い張りの商売を始めます。
「20歳で浅草の今の場所に引っ越してきて呉服店も始めて、長年やってきました。
90歳頃まで着付けはしていて、“時給1万円の女”でしたが(笑)、70歳のときに洗い張りと呉服ではこの先やっていけないと思い、現在のつくだ煮を息子と始めました。
長年商売をやっていたせいか、勘が働きましたね。私が25歳のときに5歳の息子を亡くしてから、夫は仕事が手につかなくなり、私に任せてくれるようになりました。
昔は、呉服のお客さまにお土産として配っていた葉唐辛子は、オリジナル商品として現在も販売していますよ」
「松潤の大河ドラマをみるまでは死ねない!」
千恵子さんにとって、仕事以外の楽しみといえば“イケメン”。
「朝は演歌の辰巳ゆうとのYouTubeを観ることから始まって、最近は韓国ドラマ。
『愛の不時着』にハマって、何度もみています。パク・ソジュン(『梨泰院クラス』などに出演)も大好きですよ。
イケメンが好きなのは、そもそも『VS嵐』をみて松本潤が好きになったから。『99.9-刑事専門弁護士-』は録画を何度もみていますよ。
(来年放送予定の)松潤のNHK大河ドラマをみるまでは、死ねないですよ」
まだまだ衰え知らずの千恵子さんですが、実は要介護1の認定を受けていて、腸閉塞や脳梗塞、肺がんや狭心症などを患ってきました。
「でも、大丈夫なの!小さいころから苦労してきたから、働くことは全然苦ではないんです。
今では孫や家族が手伝ってくれて、私は“看板娘”をやっていればいいから。
お客さんに“また来るね”と言ってもらえるように、これからも頑張りますよ」
「私、まだ嫁いでいますから」が口癖の千恵子さん。その言葉の通り、嫁入りしたときの若々しい気持ちで、家族のために働き続けるつもりです。
PROFILE 草間 千恵子さん
1929年東京都生まれ。小4から魚運搬業、エレベーターガール、メイド、ラーメン店をへて洗い張り店、呉服店を営む。70歳から「佃煮処千草屋」店主に。趣味は和太鼓と韓流ドラマ。
取材・文・写真/CHANTO WEB NEWS 写真提供/草間千恵子