「私だけじゃもう無理!」で番組に出演依頼

── なぜ「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」に出演することになったのでしょうか?

 

左合さん:
最初は私も桂三の昭和歌謡の話を「ふむふむ、面白いね〜」と聞いていたんです。ですが、とにかく熱が高すぎて、もう付き合いきれな〜い!って(笑)。だって、昭和歌謡の全盛期って私が生まれる前なんです…。

 

当然、私と話すよりも祖父や祖母と話すほうが盛り上がります。祖父母に桂三の話を聞いてもらったり、近所の70代の知り合いとカラオケに行ってもらったりしていました。でも、一緒に暮らしているわけではありませんから、どうしても私が話を聞くハメになります。

 

それで消化しきれない桂三の話を誰かに聞いてもらおうと思い、「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」にメールをしました。すると、しばらく経ってから連絡があり、最初はリモートで番組スタッフに話を聞いてもらうことに。その後、出演することが決まりました。

 

── 周りからの反響はいかがでしたか?

 

左合さん:
桂三は自分が昭和歌謡好きだということを、学校では言ってなかったようなんです。同年代の友だちには、共感されないと思ったのでしょう。「昭和歌謡博士ちゃん」としてテレビに登場して、初めて友だちは桂三が昭和歌謡好きと知り、とてもびっくりしていたそうです。

 

でもカミングアウトしてからは、周りの友だちも理解してくれて、桂三の誕生日に昭和歌謡のレコードジャケットや歌謡曲の本をプレゼントしてくれました。ありがたいですね。

 

── 出演して良かったと思うことはありますか?

 

左合さん:
今春に桂三の夢だったテレビ番組「徹子の部屋」の撮影現場にお邪魔させていただき、黒柳徹子さんとお会いできたことでしょうか。

左合桂三
2021年8月放送「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん 昭和の歌姫SP」のセットにて(小学6年生のとき)

「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」からのアンケートで、叶えたい夢を聞かれたときに「黒柳徹子さんに会いたい」と答えたのですが、実際に会うことが決まったときは嬉しすぎて呆然としていました。

 

黒柳さんは第9回の「NHK紅白歌合戦」の司会をされていたのですが、まだビデオがない時代で映像が残っていないのです。そのため桂三はそのときの話を聞いてみたかったようです。収録では紅白の裏話など聞きましたが、本人はすごく緊張していたそうで、途中覚えていないことも(笑)。でも楽しかったようで、「徹子さんって本当にいるんだね〜」と驚いていました。

 

── 番組を通して、夢が叶ったんですね。

 

左合さん:
「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」に出演したことは、本当に桂三にとってプラスになったと思います。自分の成長を、私だけでなく番組スタッフなど、たくさんの大人に見守られて育っていると気づくきっかけになりました。今では番組が桂三にとって、「第二の故郷」じゃないですけど、落ち着く場所のひとつになっていると思います。

左合桂三と母
2021年3月放送「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」初出演の楽屋口にて親子で撮影(小学5年生のとき)

またそのつながりで、たくさんの博士ちゃんたちとも知り合いになれました。博士ちゃんのなかにはもともと電車好きの子が多く、よくその話題でも盛り上がっています。まわりの友だちや番組関係のほうが熱の高い話を聞いてくれるおかげで、私の負担が少し減ったのもありがたいですね(笑)。

取材・文/酒井明子 写真提供/左合みちる