元日本マイクロソフト役員として活躍後、2017年に週休3日制を標榜する株式会社クロスリバーを設立した越川慎司さん。現在、大手企業をはじめ、多くの企業の働き方改革に携わっています。
最も重視しているのは「短時間で大きな成果を出す」こと。そのために、クロスリバーではどんなことを実践しているのでしょうか。
2度体調を崩した経験から週休3日制の会社を設立
── 日本マイクロソフトを退職後、越川さんが週休3日制のクロスリバーを立ち上げた理由を教えてください。
越川さん:
世界中の企業を週休3日にするためです。僕はとにかく働くのが好きで、日本の通信会社に勤務していた頃も、前職の日本マイクロソフトで役員をしていた頃も、働きすぎて2度体調を崩してしまったんです。
この経験から、無限に働くことはもうやめて、限られた時間のなかで成果を出す働き方に変えていこうと、20年ほど時短仕事術に取り組んできました。研究の結果、再現性があることも確信できました。
そのノウハウを活かし、これまで815社の企業に対して、無駄をなくして「週休3日制・1週間30時間以内の労働時間で売り上げが変わらないモデル」をつくるために行動を変えるコンサルティングを行ってきました。
── なぜ1週間の労働時間が30時間以内なのでしょうか。
越川さん:
基本的に7.5時間×4日で計算しています。週休3日にして休みの日を増やせたとしても稼働時間が1日10時間など増えてしまうと意味がありません。休みが多くて労働時間が少ない働き方を目指すために、上限を30時間にしています。
労働時間の削減だけでは成功しない
── クロスリバーでは、短時間で大きな成果を出す働き方を実践されています。取り組みの特徴を教えてください。
越川さん:
ポイントは、労働時間だけを削減する働き方は絶対にうまくいかないということです。
2017年から時間外労働の規制など、国をあげた働き方改革が始まりましたが、働き方改革に取り組む企業のうち12%しか成功していません。なぜなら、残業削減だけだと一時的に社員の満足度は上がっても、売り上げと利益が落ちてしまうという欠点が解決できないままだからです。
仕事が終わらなくても帰らなければならなかったり、残業をしているけれどしていないように見せていたりという実情もあります。これは本質的な働き方とはいえません。やはり残業削減だけではうまくいかないんです。
週休3日制を継続するポイントは、労働時間の削減ではなく、時間の再配置です。無駄なものをなくしてそこで生み出された時間を一部プライベートに使います。それでもまだ時間は余ります。その余った時間でまず、学びを増やす改革に充てるのです。未来に必要なスキルを向上させる学び方改革です。
さらにもうひとつは事業開発です。今までよりも短い時間で、純増純利益を生み出すために、やはり事業開発に手をかけることは必要になります。