生理を理解した上で妻や娘と接することが大事

—— 妻だけでなく、思春期の娘さんがいる父親という立場の場合、生理とはどう向き合えばいいのか、悩ましいところですね。

 

上原さん:妻やパートナーとは「生理中にどうしてほしいか」を話し合う機会をつくるといいと思います。女性からすると、ただそっとしておいてほしい場合もあるので。

 

思春期の娘さんがいる場合は、少しデリケートに感じてしまうかもしれませんね。まずは知識的なところでいうと、10~15歳で二次成長が起こります。この時期におおよそ生理が始まるとされ、心と体に変化があります。

 

反抗期とは少し違っていて、異性の目や他人の目が気になったり、体の変化に心が追いつかなくてイライラにつながったりすることもありますね。

 

「父親には話しにくい」と避けられることもあるかと思いますが、父娘の間で普段から何でも言い合えるような関係性を築いた上で、「生理そのものは体の成長の過程で、何らおかしいことではないんだよ」と父親からも言ってあげていいと思います。

 

また、プールの授業や修学旅行、受験のときに生理が重なると、心身ともに負担が大きくなります。「先生にどう話せばいいんだろう」とか、修学旅行中に自分だけみんなとはお風呂が別で、友達に「何で?」と聞かれたりとか。

 

父親だとなかなか踏み込んで娘さんと話すことは難しいと思いますが、こういう事実があるということを知った上で接してあげることは、とても大切だと思います。「生理について、経験したことも学んだこともないから分からない」という男性がほとんどだと思います。

 

でも、生理についての知識があれば、パートナーや娘さんに掛ける言葉や接し方が変わってくると思います。お互いが歩み寄るきっかけにもなるのではないでしょうか。

 

PROFILE 上原桃子さん

医師・産業医。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構理事。体と心の健康、未病の活動に尽力している。医師と患者のコミュニケーションを双方の視点から見つめ直すことを課題とし、働く女性のライフスタイルについて提案・貢献することを目指している。

取材・文/高田愛子