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子どもの頃に、明確な性教育を受けずに育った一般男性にとって、生理は得体の知れないもの。職場でも生理休暇がとりやすいようにするために無関心ではいられません。女性の体の中では、どんなことが起きて、メンタルはどう変化するのか?妻や娘、女性の同僚がいる男性に広く生理を知ってもらうため、医師の上原桃子さんに話を聞きました。

「寝ているときにも血が出る」ことを男性は知らない

—— 一般的に、男性は生理についてどう思っているのか、先生の見解を聞かせてください。さまざまな誤解もあるのではないでしょうか。

 

上原さん:男性が生理をどう思っているかについては、「何となく辛そう」「イライラしたりお腹が痛いなど、ネガティブなものというイメージ」という声をよく聞きます。「辛い女性に対して、サポートや声掛け、配慮はするべきなのか?具体的にどうしたらいいかが分からない」という声もあります。

 

また、経血の量に対する誤解はけっこうありますね。女性からすると個人差はありますが、1週間でかなりの量になるという印象。それに比べて男性は、「ナプキンにちょっと血がつくだけなんじゃないか」と思っている方が多いように見受けられます。実際に目にしたことがないので、具体的なイメージが持てないのではないでしょうか。

 

そこで関係してくるのがナプキンを取り替える頻度です。ナプキンは経血のほか、汗なども吸収しています。

 

男性のなかには、1日に1回取り替えればいいと思っている人が多くいらっしゃいますが、経血量が多い日は数時間置きに取り替える必要があります。その際、何度もトイレに行かなければいけないので、外出先ではかなりの負担になります。

 

あとは、「就寝中、血は出ない」という誤解。寝ている間も血は出続けるので、生理中は快適に眠れないことも女性にとってはしんどいわけです。気になって何度も目が覚めたり、朝起きたら布団や衣類に血がついていて気分が落ちたりすることもありますね。

 

—— 経血による不快感は、体験していないと理解しづらい部分ですよね。生理中の1週間だけが辛いと考えている男性も多いのではないでしょうか。

 

上原さん:そうですね。生理は一般的に1週間程度ですが、女性はその期間だけ調子が悪いわけではないんですね。

 

生理前の期間にPMSの存在があります。月経前症候群といわれるものですね。理由もなくイライラしたり、涙が出たり…。そういった気持ちの不安定さに悩む女性もいます。

 

これは男性からすると、イメージがつきにくいですよね。「何イライラしてるの?」と唐突に攻められるように言われると、女性は余計に気持ちが不安定になったり、傷ついたりもします。そこで、パートナーと衝突が起きることもなきにしもあらずです。女性はこの期間は特に、感情のコントロールが難しい状態です。

 

—— 季節や年齢と生理の関係についても、男性によって理解の仕方が違うのではないでしょうか。

 

上原さん:季節に関しては、月経の周期も量も変わらないデータが出ています。ただ、夏場は蒸れやすいので、不快感は増します。

 

年齢に関しては違いがありますね。20~30代は女性ホルモンの分泌が多いので、経血量もピークに。その分、月経前症候群が起こりやすい時期になります。

 

更年期を迎えて40~50代になってくると、女性ホルモンが低下していきますので、経血量が減ったり生理と生理の間の期間が長くなったりということが起こってきますね。もともと約1か月おきに来ていた生理が、1か月半おきになったりもします。