関わる人が達成感と誇りをもてる仕事を
── この事業にどのような可能性を感じていますか。
松本さん:
前提として、福祉施設の事業モデルの多くは、作業として請け負い、作業工賃をもらって収入にするというものです。
ただ、作業が簡単すぎることによって「誰が作っても一緒だ」と施設の利用者自身が思ってしまうと、「自分はこの商品に関わったんだ」という誇りを感じることができないということが課題の一つだと伺っていました。
そこでいうと、私たちが提携している福祉施設の方々との関係は、単純な作業をお願いしてササっとやってもらっているというより、もう一歩踏み込んだ関係にあると自負しています。
たとえば、依頼している入浴料の巾着をつくる作業でいうと、そんなに簡単な作業ではなくトレーニングがいるんです。すごく難しいわけじゃないけれど、すぐにできるという作業でもない。
なので、練習して、このちょっと難しい作業ができて、ゼロからパッケージを完成させるところまでを自分たちで仕上げた、という達成感が生まれます。
また、「jiwajiwa」の商品は百貨店に置かれていたり、雑誌などで紹介されることもあるため、達成感を得た商品が注目されることで、関わっている方のさらなる満足感や自信に繋がっていっています。
そういった視点から、福祉施設の方々からは「雇用への次のステップに繋げていくという可能性がある仕事」と言っていただいており、私たちもその可能性を信じています。
大前提として良い商品であるということ
── なるほど。商品が注目されるためにどのようなことに力を入れていらっしゃるのでしょうか?
松本さん:
はい。商品が注目されるためには、シンプルに、使い手にとって良いものでないといけません。そして、手に取るだけでワクワクするようなおしゃれなものでありたいので、品質や製造方法のほかに、デザインにも力を入れています。
余分なものが何も入っていないシンプルな良い素材を使って、手作業で丁寧に良い商品をつくり、デザインも喜んでいただく。そしてお客さまには、「いい商品だな」と手に取っていただいたその商品には、実はさまざまな方が幸せに関わりながらつくっているということを知ってもらいたいんです。
そのためには、やっぱりお客さまにとって良い商品を丁寧に作る、というあたりまえのことに全力で集中しています。