効率的にお金を回す仕組みの中に「いない人たち」に気づいた

── 障がい者、高齢者、子育て中の女性と一緒に仕事をしようと考えたきっかけを教えてください。

 

松本さん:

今までの人生で、障がい者も、高齢者も、子育て中の女性も、大きな仕組みから少しこぼれていくマイノリティであるように感じる場面がいくつかありました。

 

たとえば前職で私が見てきた子育て中の女性の先輩は、時間が限られているからこそマルチタスクで仕事を素早くこなしていたり、判断も早いんです。

 

でも予測不可能なことが起こる子育てをしながらも、会社に出社するしかない状況がハードルになっているように感じました。出社という形にこだわらなくても関われるんじゃないか、そう思いました。

jiwajiwaの入浴料

また、私が小さい頃に母が福祉施設でボランティアをしていて、障がいのある方々が周りにいるということが当たり前の環境で育ったことも大きいです。だけど、学校に普通に通ったり、社会に出て効率よく仕組みを回していく環境におかれていくうちに、私は自分の周りにそういう人たちを見かけなくなっていました。

 

社会ってもっとさまざまな人がいるはずなのに、効率的にお金を動かす仕組みの中にはいない。社会のあり方としては、もっと多様な人が関わって仕事をして、その上で成り立っている事業や商品があった方が美しいですし、そうであってほしい。

 

そんな気持ちから、さまざまな方に関わってもらっています。

 

── 関わっていらっしゃる方々の声を教えてください。

 

松本さん:

生産者の皆さんからは「自分たちのハーブが商品化されて百貨店などのお店に置かれていることがとても嬉しい」という言葉をいただいています。

 

また、製造スタッフの皆さんから「難しい作業ができるようになって自信に繋がっています」という言葉を聞いた時は、本当に嬉しかったですね。

松本さん

 

在宅スタッフの皆さんにも「子育てを大切にしながら、やりがいをもって仕事をできることが嬉しい」と言っていただき、自分たちのやっていることに対する自信に繋がっています。

 

そういう言葉をもらうたびに、地方の抱えている課題や、育児休業後の女性の復帰率の低さ、そして企業の障がい者雇用への意識の低さなど、社会が抱えるさまざまな課題に、私たちの仕組みで少しずつアプローチしていきたいという想いをあらためて強くしています。