スキルの掛け算が重要

── これからの転職市場、働く人はどういうことに気をつけて乗り越えていったらいいでしょう。

 

渡辺さん:

時代の変化があり「何でもできる」じゃなくて、スキルの掛け算が大事だと見ています。

 

「私はマーケティングがメインだけれど、ITも結構強いです」とか、そういうスキルを複合でできる人は強みになると思います。

 

キャリアをつくるときに、自分は新たに何をアップデートしたらいいかということを考えるのが重要ですね。

 

転職活動をして、どういう機会があるかをみて、転職先でのキャリアと今の会社でのキャリアを比べて、どうするか決めるという時代です。今の時代は、「今勤務している会社も好きだから残るのもいいけれど、いったん外も見てみよう」という転職が増えていますね。

 

── そんなふうに能力を高めて考えていくことは転職者にとって重要なんですね。

 

渡辺さん:

いちばん重要なことは、自分がどれだけ市場価値があるかを常に意識することです。日本はだいぶ変わったと言っても「転職活動している」とは仲間うちでもなかなか言いにくいし、相談もしにくいです。

 

私は転職したいという人に会っても「あと2年、今の会社でスキルを磨いてからうつったら」と言ったりもするけれど、通常の転職エージェントはなかなかそういう支援ができない。

 

そういうアドバイスをくれるエージェントかどうかという意識を持って、エージェントに会えばいいと思います。「ただ、職探ししています」だけだとそういう助言はもらえないと思うので、自分の考えをしっかり持ってもらいたいですね。

取材・文/天野佳代子 写真提供(本人)/渡辺紀子さん 写真(イメージ)/PIXTA