野菜嫌いなお父さんを論破!
—— 湊くんは、今は中学3年生です。ふだんはどのような生活をしていますか?
緒方さん:
ふつうの中学生です。卓球部に所属しており、休み時間はドッジボールをしているようです。家では、勉強をしたり、テレビを観たり、ゲームもします。朝と夕方は庭の畑の手入れをし、その野菜を使って料理をすることもあります。料理も好きで、魚もさばきます。
あと、神奈川新聞で隔週の連載を担当しているので、原稿も執筆しています。原稿については湊が書いたものを、私がパソコンで打ち直していますが、ほとんど手直しはしていません。小さな頃からセミナーで野菜のことをたくさん話しているので、自分の知識で構成を考え、文章にすることができるようです。
—— 学業とメディア活動の両立も大変そうですね。
緒方さん:
そこは本人の強い希望もあり、学校と部活を優先しています。メディア活動はできる範囲で行うことに。
—— 湊くん、しっかりされていますね!
緒方さん:
正直、親子が逆転している感じです。湊は野菜好きですが、実は私は野菜や果物が嫌いです。なので、「野菜を食べなさい」と湊にいつも言われています(笑)。
しかも、単に体にいいから、とは言わないんです。「野菜に含まれるビタミンやミネラルは体内でつくることができないから、健康のために食べようね」と。「でも、肉食獣のライオンは野菜食べないよね」と反論すると、「ライオンは草食動物のウサギやシマウマを食べるでしょ。消化されている草を、草食動物を通してライオンは食べているんだ」と言う。
もうそこまで言われると「う〜ん、じゃあ少し食べてみようかなぁ…」とならざるを得ない(笑)。
—— 湊くんなら野菜の美味しい食べ方も知ってそうですね。
緒方さん:
そうですね。たとえば、大量のトマトが毎年畑にできるのですが、私は「トマトのゼリー部分」が嫌いなんです。それを湊に伝えると、ゼリー感を感じさせないよう、トマトケチャップにしてくれました。
トマトケチャップをクリアすると、ゼリー部分が入ったトマトピューレ、次はトマト感のあるラタトゥイユと、だんだんトマトの本来の形に近づくようにアレンジしてくれました。
そこまでやられると、「じゃあ、自然のままのトマトを食べてみようかなぁ…」となりますよね。そういうトラップが張り巡らされています(泣)。
—— 湊くん、頼もしいですね。将来はどんな子に育って欲しいですか?
緒方さん:
健康でいてくれたら十分です。まだ子どもなので今まで通りサポートはしていきますが、彼の人生ですから、やりたいことをとことんやってほしいです。
本人の希望としては、今後は美味しいのに知られていないマイナーな野菜を広めたり、後継者不足が深刻な伝統野菜を守りたいようです。また、野菜だけでなく、野球の実況アナウンサーなどにも興味があるようなので、親としては湊がやりたいことを応援していきたいと思います。
取材・文/酒井明子