今後は価格高騰よりも野菜のサイズダウンが?
── このほかにも野菜市場の変化はありますか。
テツさん:
ロシアのウクライナ侵攻の影響で、化学肥料の価格が値上げになったのが気になっています。
野菜の値段は本来、ガソリン代や肥料代といった経費にあまり左右されないものなんです。
ほかの食品はメーカーが作ってメーカーが値段を決めますよね。でも野菜って、生産者さんがJAなどに出荷して卸売市場が値段を決めます。直売でない限り、値段を決めているのは農家さんではない。だからいくら農業で経費がかさんでも、野菜の値段は変わりません。農家さんの負担が増えるだけの構図なんです。
今、肥料の価格が上がっています。これまで通り野菜の価格に影響しないかなと思っていたんですが、今回はちょっと違うようです。
というのも、ウクライナ侵攻の今後の見通しが立たないために、肥料の使用量を減らし始めた農家さんが結構いると聞いています。肥料を減らすと、野菜自体が小型化する可能性があります。
このまま肥料の高騰が続いた場合、「野菜の高騰化」という形ではなく、「全体的に野菜がサイズダウンする」という形で食卓に影響が出る可能性があります。
── 食卓の野菜も、世界情勢の影響を受けているのですね。最近、スーパーは無農薬の野菜を取り扱うところが増えたような気がするのですが、近年、消費者の意識の変化を感じますか。
テツさん:
そうですね。Twitterで消費者と関わることが多いのですが、無農薬やブランド的な野菜にこだわる方が増えているなあと感じています。一方で、日常的に利用するスーパーの野菜が売れなくなったというわけでもないと思います。
── 最近では新顔の野菜も増えています。テツさんの「推し野菜」を教えてください。
テツさん:
僕はスーパーの野菜売り場の店員なんですが、リスクが大きいので、スーパーは珍しい野菜をあまり取り扱わないんです(涙)。
推し野菜ですが、一般的なスーパーではあまり見かけないのですが、岡山の企業「サラ」が取り扱っている「サラトリオ」というレタスでしょうか。3種類の根付きレタスが1袋に入っていて、結構おいしいですし、植えたら生えてくるので楽しいです。
また、これからの季節はトウモロコシが推しです。今年のものは出来がいいと産地の方から聞いています。
粒が白いトウモロコシもおいしいですよ。お尻をカットし、皮が付いたままラップをせずに600wで7分レンチンするだけで食べられます。芯は出汁に、ヒゲは刻んでスープに入れられます。ぜひ、白いトウモロコシを試してほしいですね。
取材・文/大楽眞衣子