「頭金なしで住宅購入」も考えもの
屋敷さんがほかに懸念するのは「頭金なしでの住宅購入」。
「購入額の3割は自己資金で頭金を作ろうと一般的には言われています。それに、契約金や印紙代なども先に支払わなければいけないものもある。私も実は、手持ちのないお客様に自分の財布から10万円貸した、なんてこともありました。でも、明日の生活に困る人が家を買うというのは、ちょっと無謀な気がします」
ある程度の頭金の用意も必要なようです。
「住宅展示場に足を踏み入れるときは覚悟を持って」
休日、住宅展示場にふらっと訪れるケースもあると思いますが、屋敷さんは覚悟を持って足を踏み入れた方が良い場所だとも指摘します。
「営業マンは展示場では、お客様が来るとダッシュで迎えに行きます。そして家を買う可能性があると思えば、必ず次のアポをとります。ほかの現場を見せますとか、間取りを作っておきますとか言って、1か月以内に契約を取ろうなど目標を持って関わってきます」
屋敷さんいわく、若いうちに家を買って定年までに払い終える方が楽かもしれないが、ちょっとしたデート感覚で訪れたカップルがそのまま家を購入し、モデルハウスに惹かれて予算は大幅オーバーというケースも見受けられると言います。
「展示場に行く時は、予算をしっかり持って、現実的な買い物をした方がいいです」とのこと。展示場に輝く物件に心踊らされて予算オーバーにならないよう注意が必要なようです。
PROFILE 屋敷康蔵さん
35歳の時に住宅業界に就職。10年近く在籍し、120軒の住宅建築に関わる。著書に住宅営業マンのテクニックなどを書いた『住宅営業マンぺこぺこ日記』がある。
取材・文/天野佳代子 写真/PIXTA 写真提供(本人写真)/屋敷康蔵さん