住宅を購入する場合、人生に一度の大きな買い物にもなりかねません。今回は書籍『住宅営業マンぺこぺこ日記』が話題となった注文住宅・販売営業の元プロ、屋敷康蔵さんに住宅購入にまつわる注意点を聞きました。住宅展示場に足を踏み入れる場合は予算を決めて、覚悟を持って行くことをお勧めするそう ── 。

「今の家賃に数万円プラスで支払えます」は実際しんどい

住宅購入にあたって、屋敷さんがまず注意点としてあげるのは、住宅ローンを組む方法。

 

「30年、35年とローンを組んでいくことになると思うのですが、みなさんが思っている以上に長いんですね。もちろん、ちゃんと完済される方も多いのですが、35年先って何が起こるかわかりません。状況は変わるんですよね。だから、本当に身の丈にあった支払えるローン計画にしないといけません」

 

営業マンがよく言うのは、「賃貸でこの金額だから、もう少し頑張って、これぐらい月々の支払いをプラスしていきましょう」というものだそう。

 

しかしこれが落とし穴。屋敷さんご自身、住宅ローンの支払いが苦しくなり、一度家を手放した経験があり、実際、支払いに苦労する人は多いそう。

 

屋敷さんは、数年前に住宅業界を離れて、日雇い労働のような生活が続き、収入が激減して生活に困窮。

 

35年で組んでいた住宅ローン返済も、ときに1か月遅れ、2か月遅れになりながら、返済のやりくりをしていたそうですが、限界を迎えて、ローン開始から13年目に完全に返済不能となり家を手放されました。今は再び、リフォーム関係の仕事につかれています。

 

このご時世、給与が右肩上がりに上がるケースがすべてではなく、ライフステージの変化で教育費の増加や離職など予測できないことがあると言います。また、減額される可能性があるボーナス時の支払いもおすすめできないと言います。

 

もし、途中でローンを支払えなくなり、家を売却する場合、当然、購入時よりも家の価格は低く査定されることが多くなります。

査定のイメージ写真(PIXTA)

「そのため、借金だけ残る場合もあるわけです。ある住宅雑誌を見ていたら、私がお客様に販売した家がかなり安い値段で売りに出ていたというケースもありました。途中でローン支払いが難しくなってしまったのではないかと推察します。支払いが延滞すると最悪の場合、家が競売にかけられるケースもあります」

 

一生ものの買い物を前に気分が大きくなって、無理なローン設定をしないことが何より重要だと言います。