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「男性の育休義務化」70%の中小企業が反対!?さらに厳しい妻の声…

仕事

2020.10.06

2020年9月、日本商工会議所が発表した調査結果で、「男性社員の育児休業義務化」に反対する中小企業が70%を超えていることが分かりました。

 

これに対し、「それでは少子化が改善しないのも当たり前」「女性が1人で子育てするのが前提の社会はおかしい」など、たくさんの批判が集まりました。

 

その一方で、「育休が必要ない家庭まで義務化されては逆に迷惑」「義務化は企業の負担が大きすぎる」などの意見もあり、賛否両論となっています。

 

実施されるかどうかはまだ未定ですが、議論が高まること自体は良いこと。

 

今回は、このニュースをきっかけに、義務化に反対する企業や社会の現状からママの本音・考えられる解決方法などを探っていきます。

 

「70%が反対」って本当?調査結果について

この調査は、日本商工会議所と東京商工会議所が2020年7月〜8月に、全国の中小企業6007社を対象におこなった「多様な人材の活躍に関する調査」というものです。

 

回答があったのは約50%の2939社からで、「男性社員の育児休業取得の義務化」に対し、「反対」が22.3%、「どちらかというと反対」が48.6%で、合計すると70.9%にも上ったということです。

 

日本は男性の育休制度自体は世界トップレベルなのですが、実際の取得率はというと、北欧諸国の多くで80~90%以上、ヨーロッパ諸国もほとんどが10~20%となっているのに対し、2019年時点で6.16%とケタ違いに低い水準です。

 

育児休業は、企業が独自に設定しているものをのぞけば、企業によって取れる期間や育休給付などの規定に差はありませんが、人員配置に余裕のない中小企業でより取りづらい傾向にあります。

 

とはいえ、大手企業でもたびたび「パタハラ(育休にまつわるハラスメント)」が問題になっており、社会全体の問題であることに変わりはありません。

 

関連記事:パタハラでネット大炎上!男性育休わずか6.16%は会社の嫌がらせか!?

 

なぜ企業は「男性育休義務化」に難色を示すのか

今回の調査では、「反対」または「どちらかというと反対」と回答したのは、業種別では、

 

  • 運輸業(81.5%)
  • 建設業(74.6%)
  • 介護・看護(74.5%)

 

の順で多かったといいます。

 

これらの業種は一般的に、労働時間が長い・仕事内容がハード・給与が低いなどの理由で慢性的に人手不足が続いているといわれます。

 

2018年に「働き方改革」の一環として労働基準法が改正されました。

 

その中の1つに、法律で定められた残業時間を超えて働かせる「特別条項付36協定」の廃止がありますが、今回、男性の育休義務化に反対した3業界や中小企業は、廃止の時期が大企業よりも遅くなっています。

 

現状でもギリギリの人数で長時間労働が続くなか、従業員に子どもが生まれるたびに強制的に1ヶ月から1年近く人手が減るのではとても業務が回らない…と考える企業が多かったのが、今回の「反対」回答率の高さの理由とみられています。

 

また、もともと待遇が厳しいから人が集まらない、少人数で回しているからさらに育休が取りにくい…という悪循環も推察されます。

 

なんと母親からも「反対」の声…その絶望的な理由

男性の育休について、会社側が人手減やコストがかさむことを懸念したり、子どものいない同僚が自分たちへのしわ寄せを嫌がる…というのはよく耳にします。

 

しかし、なんとこのニュースについては、出産した女性からまでも「反対」という声が。

 

「赤ちゃんの世話だけでなく、夫の世話までするのは負担が大きすぎる」

 

「実家に頼れるので、夫にはわざわざ仕事を中断してもらわなくていい」

 

「夫の育休で手取りが減るのは困る」

 

などがその理由です。

 

なかでも深刻なのは、義務化で逆に子どもを持つ希望がなくなってしまうという声。

 

「うちの夫の会社の雰囲気と過去の例では、絶対に男性育休なんて無理。もし義務化されたら、間違いなく辞めさせられる。育休で解雇や退職させたら罰則?じゃあ、夫が仕事を続けるためにわが家に残る選択肢は…子どもをあきらめることです」(Oさん・29歳)

 

ほかにも多かったのは、「育休を取っても夫は何もしない、逆に妻の負担が増えるだけ」という意見。

 

関連記事:「とるだけ育休」を問題視!育児しない男性に育休はムダなのか!?

 

義務化するなら、男性には、出産における母体のダメージ・産後うつなどメンタル面のサポートの必要性(具体的にどう動き、どんな言葉がけをするといいのか)、親子教室の受講とおむつ替えなどの練習、基本的な家事スキルなどの研修もセットにするべきかもしれません。

 

実際、近年出生率が上昇しているフランスでは上記を実施しています。

 

これからどうする?男性育休と社会の変化

今回の調査結果からは、中小企業が置かれた苦しい現状もたしかに伝わってきます。

 

しかし、これからは少子化と人口減で働き手の確保がますます厳しくなる世の中。

 

目先の収益の最大化だけを追って、働く人の家庭やQOL(人生の質)をおろそかにしていては、けっきょく最終的に誰も人が集まらず、企業が成り立たなくなることは目に見えています。

 

そこで、男性育休だけにとどまらず、働く人も企業もよりよい未来を迎えられるためにいま取り組むべきことを考えてみました。

 

①人材のマネジメント改善

育休や子どもの病気での休みに伴う「しわ寄せ」が発生する限り、休む側は「冷たい目で見られて肩身が狭い」と感じますし、関係がうまくいっていたとしても「いまはみんなに迷惑をかけられない」と出産をためらうことも。

 

育休だけではなく、子どもの急な病気・学校行事・介護など、家族のためや自分自身のために仕事を休む場面は誰にでもあります。

 

それを想定した人材の配置や代替人員の雇用、肩代わりする社員への手当など、「休む社員が辞めずに済む対策」を事業計画に組み入れてゆくべきでしょう。

 

②労働生産性の向上

もちろんすべての中小企業ではありませんが、まだ業務の効率化やコストカットが進んでいない企業もあります。

 

「うちの会社は、顧客データを手書きノートで各自持ち歩いていて、事務所でそのコピーをファイルにとじ、担当が変わるとまたそのコピーを取るという感じ。サーバーで一括管理して、社員ならどこでも誰でも同じ内容が見られるようにすればいいのに…。以前提案しましたが、上司がパソコン音痴だからと却下されました」(Hさん・35歳・5歳児と2歳児のママ)

 

こういった部分を改善し、労働生産性を高めるのも、一見遠回りですが、常にリソース不足で苦しんでいるなら欠かせない対策だといえます。

 

相手先の事務所移転や担当者変更なども満足に共有されていない状況なため、担当者が変わると毎回大変で「男性育休なんて迷惑だ!」という雰囲気をHさんは感じているそうです。

 

③男性の働き方改善

長時間労働が高評価される風潮は、特に男性対象に、いまだに残っている企業・職場も多いのではないでしょうか。

 

Yさん(33歳・2歳児のママ)は、

 

「2年前に出産したときに、夫は、子どもも産まれたことだし、ますます働かないとな!と言わんばかりに仕事を増やされたんです。当然残業も増えました。妻が育休中で家にいるから何時になっても大丈夫だと思っていた様子。赤ちゃん小さいんだから早く帰りなさいって言われるような社会になればいいのに…」

 

と話します。

 

子どもが生まれた男性社員がもっと育児に関わることは、単なる妻のサポートだけでなく、本人にも勤務先にも数多いメリットがあります。

 

関連記事:小泉進次郎氏の育休、みんな盛大に「カン違い」していないか

 

「育児」に関わったパパは、成長後の子どもとの関係が良好になりやすいという傾向があります。

 

また、育児は、限られた時間でいくつもの用事を進行させるマネジメント力、相手の意志や本音を読み取る力・包容力など人間性を向上させ、そのスキルは仕事上でも非常に役立ちます。

 

かけがえのない赤ちゃん時代も返上して仕事に没頭したい…という男性もある程度はいるでしょうが、そうでない男性には「育児する権利」を保障するべきでしょう。

 

④個々の会社まかせではダメ

もし今後、男性育休が法で義務化されたとしても、運用は各企業や職場におまかせ…ではとても実現が難しいことは想像がつくと思います。

 

現場の状況をヒアリングして企業に必要な助成を用意することも必要でしょう。

 

また、夫に十分なスキルがあり、フルに育休を取ってママや上の子のサポートをする形から、里帰りするので出産直後は育休は不要、産後1か月から早く帰宅したり検診などでスポット的に育休を取ったりしたいという形まで、それぞれに適した育休の形は異なります。

 

たとえば、退院後の1週間の育休はコアとして義務化し、あとは1ヶ月のフル育休/時短/ヘルパーさん利用補助券の支給から選べるようにするなど、これから社会全体で、男性育休のありかたについて議論を深めていく必要があります。

 

おわりに

本来は、義務化よりも「育休を取りたい人が問題なく取れる社会」が理想です。

 

しかしそれを待っていては、いつまでも育休を取りたくても取れない男性が出続ける可能性も。なかなか上昇しない男性育休取得率がそれを明らかに示しています。

 

かつての有給休暇や公共の場での禁煙・ク―ルビズなどのように、普及が進まない制度が定着するまでの経過措置としての義務化はやむを得ないのかもしれません。

 

子どものいる人いない人、雇用する人される人…いろいろな立場から、引き続き検討するべきテーマだと考えます。

 

文/高谷みえこ

参考/「多様な人材の活躍に関する調査」の集計結果について ~女性、外国人、高齢者の活躍推進に向けての課題が明確に~ – 日本商工会議所 https://www.jcci.or.jp/news/jcci-news/2020/0924140000.html

厚生労働省労働基準局「改正労働基準法に関するQ&A」 https://www.mhlw.go.jp/content/000487097.pdf

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