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親ガチャが話題だけど…実は「親ペナルティ」もあるだと!?

子育て

2021.12.15

2021年に話題になったワードに「親ガチャ」というものがあります。

 

親ガチャとは、家庭の裕福さや容姿の遺伝・毒親であるかどうかなど、子供自身にはどうにもできない要素によって、進学や就職など人生における有利度が左右されることをいいます。

 

一方、数年前からインターネットなどで時々見かける「親ペナルティ」という言葉もあります。こちらはどんな意味なのでしょうか?国内外での認識や、広まった背景などを調べてみました。

「親ペナルティ」とは?本来の意味

大辞林4.0によれば「ペナルティ」という単語には「罰則/罰」「罰金」という意味があります。

 

親になると、それまでと比較して肉体的・精神的・金銭的な負担が増え、赤ちゃんを連れているだけで色々な場所で迷惑がられたり、ちょっとした移動にも苦労したりしますが、最近はこれらを指して「親ペナルティ」と表現されることがあります。

 

しかし、もともと欧米の社会学の世界では「親ペナルティ」ではなく、出産すると母親(女性)の収入や昇進率がダウンすることを指す「Motherhood penalty(母親ペナルティ)」が問題視され、研究が進められてきました。

 

アメリカでは子供が1人増えるごとに女性の賃金が7%ずつ低下していくという報告もあり、末子が成長するまではバリバリと働けない(または子供のためにあえて仕事や昇進をセーブする)ため、生涯にわたって子供のいる女性がそうでない女性よりも収入が低水準になりがちであると指摘されています。

 

また「母親ペナルティ」に対する言葉として「Fatherhood premium(父親プレミアム)」も存在します。

 

家族手当制度、生活費・教育費の捻出のために労働を強化する傾向などから、多くの父親は子供を持つと母親とは逆に賃金・収入が上昇することを指し、海外では母親ペナルティと並んで男女間の賃金格差の要因の1つとされ、早くから研究が進んでいます。

日本での認識と背景にあるもの

近年の日本では、子育てそのものが負担や苦行=ペナルティのようにいわれるケースもありますが、世界的に見ると、親になることでデメリットが生じるのはおもに経済面のみで、子供の成長を喜んだり家族で過ごしたりすることで経済面以外の幸福度は上がる…という認識のようです。

 

また欧米では経済的デメリットの対象が母親(女性)だけということが問題視されていますが、日本ではつい最近までほとんど「母親ペナルティ」や「父親プレミアム」についての研究は存在しなかったといいます。

 

それはなぜなのか考えてみると、そもそも出産した女性が育児のメイン担当に回り、退職したり時短勤務やパートに転じたりして収入がダウンするのはある意味「当たり前」という社会だったからではないでしょうか。

 

それを「ペナルティ」ととらえる発想がなかったために、改善しようという動きも当然なかったと考えられます。

 

もちろん、夫婦で話し合い、収入を得るのをメインにする人と家事育児をメインにする人とで役割分担すること自体は自由で何も問題はありません。

 

しかしお互いの「キャリアを継続したい」「育児時間を多く取りたい」といった希望を出す前から、当然のように父親は仕事・母親は育児と決まってしまうのはもったいないですよね。

 

多くの職場でも「男性は子供を養うためにしっかりと働き育児に時間を割くべきではない」という価値観が残っており、本当は子供と関わり妻をサポートしたくても、今まで通り残業や出張が続いたり育休が取れなかったりする父親が数多くいます。

 

これからの時代は、夫婦それぞれが今後どんな働き方をしていきたいのか、それを叶えるには職場と何を交渉すればいいのか…ということを出産前からしっかりと話し合っておくことが、夫婦とも納得できる形で育児に関わり、経済的ペナルティを最低限に抑えるコツではないかと思います。

おわりに

今回「親ペナルティ」の意味を整理してみて、世界的な認識では「親」というよりも「母親」ペナルティ、つまり「子供が生まれると母親だけに経済的損失が生じる」というものだと分かりました。

 

ただ、今の日本社会では、経済面だけでなく、子育てのすべての負担や責任があまりにも親…特に母親個人にのしかかっているということを体感している人は多いのではないでしょうか。

 

たまたま母子ともに身体が丈夫で子供は育てやすいタイプ、協力的な夫や実家のサポートを十分に受けながら育児ができる…そんな人ばかりではないですよね。

 

ワンオペ育児に苦労して「一歩間違えれば虐待してしまうかも…」という不安のつぶやきをSNSで見ない日はないほどです。

 

広く知られるようになった「親ガチャ」と同じく、この「母親ペナルティ」問題も一般に認知されていき、改善の動きが高まっていくことを願います。

文/高谷みえこ

参考/英語版ウィキペディア「Motherhood penalty(母親ペナルティ)」 https://en.wikipedia.org/wiki/Motherhood_penalty
論文「現代日本における Motherhood Penalty の検証」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/ksr/17/0/17_93/_pdf

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