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特別養子縁組で生後10日の赤ちゃんを家族に迎えるまで

子育て

2021.12.27

眠っている猫と赤ちゃん眠っている猫と赤ちゃん

不妊治療を経て、特別養子縁組によって生後10日の男児の親となった犬山ポポさん夫婦。

 

息子さんが無事に生まれたと報せが入った日、まだ見ぬわが子に向けて犬山さんはこんなツイートを残しています。

あなたが産まれてとても嬉しいから、今日は大きな鯛を買って遠くの町から小さなお祝いをしています。

産まれてくれてありがとう。

産んでくれたお母さん、ありがとう。

早く会いたいな。

赤ちゃんの誕生を喜ぶツイート実際の犬山さんのツイート

特別養子縁組は、さまざまな事情で親が育てられない0~15歳未満の子を家族として迎え入れる制度です。

 

では、実際にこの制度を通じて家族になるためには、どのような手続きや準備が必要とされるのでしょうか。

 

犬山さんへのインタビュー第2回では、特別養子縁組で子どもを迎えるまでの具体的なプロセスについてお聞きしました。

障がいがあったり低体重でも育てる覚悟はあるか

── 特別養子縁組を仲介する機関は、行政の児童相談所と民間のNPO法人のいずれかです。犬山さん夫婦はNPOのサポートを通じて息子さんと家族になったそうですね。

 

犬山さん:

友人夫婦が児童相談所を通じて特別養子縁組を行っていたので、最初は私たちもそのつもりでした。それで養親希望者向けの研修に申し込もうとしたのですが、運悪くコロナ禍と重なって研修が延期になってしまったんですね。

 

それで民間も視野に入れようかと夫婦で話し合って、いくつかのNPOから資料を取り寄せ、いちばんいいご縁を感じたところに絞り込んで申し込みました。

 

書類審査と説明会を経た後は、基本的にはZoomで研修や講義を夫婦で受けました。

 

── 研修では具体的にどんなことを学ぶのでしょうか。

 

犬山さん:

まずは特別養子縁組を取り巻く法制度について。そのうえで、養子になることの心理、家族としてどんなふうに育てていくかという内容や、障がいがある子や低体重児として生まれた子どもであっても育てられますか、ということも含めてしっかり説明を受けました。

 

法制度というハード面と、メンタルというソフト面、2つの側面について学んだ後は、大阪で開催された実習に参加しました。

 

そこでは、実際にそのNPOで委託を受けた特別養子縁組のご家族が、実体験をいろいろ語ってくださいました。新生児で委託されて2歳くらいになったお子さんと、お母さん、お父さん、おじいちゃんも参加されて。

 

あとは、人形を使っての沐浴やお着替えの仕方なども実習で教わりました。それを終えたら最後は環境調査です。

 

NPOの担当者がわが家に実際に来て、子育てができる環境かを確認されるところまでが、一通りのプログラムでした。

待機に入った18日後には委託の連絡が

── 期間はどれくらいかかりましたか。

 

犬山さん:

2020年4月に資料請求をして、5月から研修が始まり、8月3日には環境調査が終わりました。そこから待機に入ったのですが、私たちの場合、その後がすごく早くて、8月21日には「8月末に出産予定の男児を迎え入れることは可能ですか」というマッチングメールが届いたんですね。

 

まさかそんなに早く委託の連絡が来るとは思っていませんでしたから、もう夫婦で本当に驚きました。

 

── 出産直前の連絡だったんですね。その時点で、赤ちゃんの情報はどのくらいまで教えてもらえるのしょうか。

 

犬山さん:

最初のマッチングメールで、赤ちゃんの性別とおおまかな家族構成、出産するお母さんの健康状態、お父さんの情報などが教えられました。ただ、どのあたりの情報までを開示するかは出産するお母さんの一存によるところが大きいようです。こちらから追加の質問などはできない。

 

マッチングメールは最終確認の場でもあるのですが、研修を受けても土壇場で「やっぱり無理です」とお断りする夫婦もいるそうなんです。

 

でも私たちはYESしかないと思っていたので、「お願いします」と返事をして、その後すぐにベビー服を買いに行きました。

 

8月末に「無事に誕生したけれども小さく生まれたのでしばらく保育器に入ります」との連絡がNPOから来て、9月9日に初めて対面できました。

初対面の「息子」は天使だった

── 生まれてまもない息子さんと対面したときの感想は?

 

犬山さん:

天使だ、と思いました。こんなかわいい子が世の中にいるんだ、本当に天使なんじゃないかな?って真剣に思うくらいにめちゃくちゃかわいかった。

 

「新生児のうちはまだそんなにかわいくないよ」と聞いていたのですが、そんなことは全然なかったですね。最初からめちゃくちゃかわいかったです。もうそれしか言えなくなってましたね。

 

コロナ禍だった関係で残念ながら夫は一緒に病院に入れず、私だけそのまま病院に泊まって、初めて赤ちゃんとひと晩一緒に過ごしました。看護師さんと助産師さんがすごく優しく沐浴やお世話の仕方を教えてくれて心強かったですね。

 

緊張と、嬉しさと、ずっと赤ちゃんの顔を見ていたい気持ちとで、その夜はずっと覚醒している感じでした。

天使のような赤ちゃん初めて会う赤ちゃんは天使のようだった

── 息子さんの命名はどなたかが?

 

犬山さん:

夫がつけました。環境調査が終わった段階で、NPOさんから「名前を決めてくださいね」と言われていたんですね。それで男の子の名前は夫が、女の子の名前は私が考えたものを用意していました。

大人の指をつかむ赤ちゃん犬山さんの夫も「天使のような」赤ちゃんに夢中

── 生んだお母さんとはお会いできましたか。

 

犬山さん:

いえ、生んだお母さんは先に退院されていたので、お会いしていないんです。

 

ただ、NPO経由で手紙のやり取りはこれまでに3回しています。生まれたときに息子に向けて書いてくれた手紙がありますし、1歳の誕生日のときは手紙とプレゼントを送ってくれました。こちらからNPO経由で写真も定期的に送っています。いつかはお会いできたらな、と思います。

 

 

「天使」との出会いから1年、家族や周囲の人々にかわいがられ、健やかに成長している息子さんの姿は、犬山さんのTwitterからも見ることができます。第3回は、実際に育児が始まってからの日々と、今後待ち受ける真実告知についてお聞きします。

 

PROFILE 犬山ポポさん

大阪府出身、愛知県在住。30代のときに11歳年下の夫と結婚後、2年間の不妊治療を経て、2020年9月に特別養子縁組で生後10日の男児を家族に迎える。現在は夫婦で喫茶店を経営しながら、保育園に通う1歳の息子、看板猫2匹と暮らす。息子さんとの出会いから現在までの家族の日々はTwitter(@inuyamabotan)でも綴っている。 

取材・文/阿部花恵 写真提供/犬山ポポ

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