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小中高は再開している今、大学生の休学・退学が増加の理由

子育て

2020.12.04

2020年の3月から約2ヶ月以上続いた全国的な教育機関の休校。

 

感染対策を整えたうえで、小学校・中学校の義務教育をはじめ、高校や専門学校なども6月にはほとんどが対面の授業を再開しました。

 

しかし、その影に隠れていまだに登校できない学生も多数いるのが「大学」です。

 

対面授業を再開した大学や、在宅と登校を併用している大学もありますが、いまだにほぼオンライン授業で、キャンパスに通えない状態の大学も少なくありません。

 

そんな中「学費が払えない」「学費に応じた価値が見いだせない」として、休学や退学を選ぶ大学生が増加傾向にあるというニュースが報じられ話題になりました。

 

なぜ学生たちは「退学」という道を選ばなくてはならないのか…背景とともに見ていきましょう。

なぜ大学だけ授業が再開できないのか

2020年12月現在、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために休校している小・中・高は確認されておらず、子どもたちは行事などは減ったものの基本的には学校に通って対面で勉強しています。

 

感染状況が明らかになるにつれ、10代~20代の若い世代は感染しても無症状または重症化・死亡などのリスクがかなり低いと分かり、感染防止策をしっかり取って再開した方が子どもたちの学びにとって有益だと判断されたためです。

 

いっぽう大学は、7月の調査では、完全対面授業を再開した大学が約16%、併用が約60%に対し、完全オンライン授業の大学も約24%と4分の1近くありました。

 

これに対し、文部科学省は、各大学へ以下のように要請を行っています。

各大学等において、対面授業の実施・再開や、学生同士の交流等の機会の設定がなされるよう、今後国公私大等の各団体を通じて要請(2020年7月)

大学等における教育は、オンライン等を通じた遠隔授業の実施のみで全てが完結するものではなく、豊かな人間性を涵養する上で、直接の対面による学生同士や学生と教職員の間の人的な交流等も重要な要素である(2020年9月)

しかし、それぞれの大学側の判断で感染予防の観点などからオンライン授業を継続するところもあり、9月時点でのアンケートでも「ほとんどが遠隔授業である」と答えた大学が約20%ありました。

 

学校現場では安全を確保しながらできうる最大限の措置を行っていると思います。

 

ただ、現場に対し、新入生を中心とした大学生からは

 

「実習や実技・実験などが必要な学部学科なのに、期待していた勉強がまったくできない」

 

「友達もできず、家にこもってパソコンで授業を受けるばかりで孤独」

 

「図書館や施設を利用できないのに学費だけは100%払わないといけない」

 

といった声や「#大学生の日常も大切だ」というSNSのハッシュタグも見られました。

休校でも高い学費を払い続けないといけない…?

本来大学で受けられるはずの学びが十分に機能していないことに加えて、深刻なのは経済的なダメージです。

 

下宿で大学に通う場合、学費以外に家賃や光熱費・食費などの生活費もかかりますが、新型コロナウイルス流行の影響でアルバイト先が休業になってしまったり、親の収入がダウンしたりして支払いが苦しくなる大学生が増えているといいます。

 

さらに、これまで使えていた大学のパソコンやプリンターが使えなくなると、オンライン授業を受けるためのパソコンや通信環境・テキストの印刷代などの費用負担ものしかかります。

 

ならばいっそ休学…と思っても、実は、私立大学では休学中も施設費や在籍費として年間に数万円~数十万円を納めなければならない大学が数多く存在します。

 

近年は留学やインターンシップで休学する学生が増加したため、休学中の学費負担を減額やゼロにする私立大学も増えてきましたが、先行きが見えない状況の中、たとえ1年休学してもその先の学費を支払えるのかという不安は残るでしょう。

 

考えたすえ、これ以上学費を払い続けても最終的に行き詰まるなら、負担額の少ないうちに…と退学を選択する学生が増えているといわれます。

 

9月に行われた調査では、全国で190大学の大学が「次の3月には経済的理由による退学・休学者が増える」と予想していることが分かりました。

大学生向けの支援制度

せっかく大学に入学し、将来のために知識と教養を身につけていこうと思っている学生が、新型コロナウイルスの経済的影響でやむなく退学に追い込まれるような事態は絶対に避けたいもの。

 

もちろん、そのための支援もないわけではありません。

 

多くの大学で、授業料の納付猶予や延納、独自の授業料減免や奨学金の制度を用意しています。

 

また、「学びの継続」のため、アルバイトで生活費を賄っている大学生に10万円(または20万円)が給付される「学生支援緊急給付金」制度もあります。

 

文部科学省「新型コロナウイルス感染症の影響を受けた学生等への経済的支援一覧」

https://www.mext.go.jp/a_menu/coronavirus/benefit/index.html

 

また保護者が交通事故で亡くなった子どもたちの学びを支援する「あしなが育英会」では、「年越し緊急支援金」として全奨学生へ20万円の給付を決定しています。

「大学さえ出ていれば」という社会にも疑問

現在、日本の大学生の退学率は欧米と比べて低く、いったん入学さえすれば、卒業後は高卒や専門学校卒・大学中退者と比べ高い生涯賃金が期待できます。

 

しかし、経済的理由や、在学中に別のスキルを習得したり留学したりするために休学・退学する人がいても、それはそれでもっと評価されても良いのではないでしょうか。

 

現在のように、小さい頃から高い塾代を払い、少しでも偏差値の高い大学に進学することが目的になった社会では「大学中退」の代償が大きすぎるのも、問題の背景の1つであると思われます。

 

大学で学び続けたい学生へは、学費に見合うだけの施設利用や対面ならではの授業を安全に配慮しながら行い、経済的理由による退学を防ぐサポートを続けるべきですが、それと同時に、たとえ大卒でなくても多様な人材が活躍できる企業・社会作りも進めていく必要があるのではないでしょうか。

 

文/高谷みえこ

参考/文部科学省【資料6】大学等における新型コロナウイルス感染症への対応状況について https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/content/20200914-mxt_koutou01-000009906_15.pdf
文部科学省「大学等における本年度後期等の授業の実施と新型コロナウイルス感染症の感染防止対策について(周知)」 https://www.mext.go.jp/content/20200916-mxt_kouhou01-000004520_1.pdf
全国大学生活協同組合連合会「緊急!大学生・院生向けアンケート」大学生結果速報 https://www.univcoop.or.jp/covid19/enquete/pdf/link_pdf01.pdf
朝日新聞デジタル|朝日新聞×河合塾 共同調査「ひらく 日本の大学」 https://www.asahi.com/edu/hiraku/
あしなが育英会|コロナ禍で困窮する全奨学生7,612人に〈年越し緊急支援金〉を給付 https://www.ashinaga.org/media/others/5174/

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