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「クソババア」暴言を吐く反抗期の子を枯らす親の間違った行動

子育て

2021.11.18

優しいはずの子どもがだんだん親に反抗的になり、ついに「クソババア」「うっせーな」などと暴言を吐く。思春期には多くの子が通る道だと思いつつも、どう対応すべきか戸惑う親も少なくないと思います。子ども心理に詳しい東京成徳大学教授の田村節子さんは「そのとき親が対応を誤ると、子どもがうまく自立できず、後々大きな問題に発展することもある」と言います。「クソババア」の裏にある子どもの心理と、親のNG行動とは?田村さんに詳しく教えていただきました。

親という壁を突破して自立する

── 反抗期に、親を拒否するような言葉を言う子どもの心理はどのようなものなのでしょうか?

 

田村さん:
女の子の場合、多くは小学4年生ごろ、男の子がそこから1~2年遅れて本格的な反抗期に突入します。それまでは親の言うこと、先生の言うことは絶対です。でも自我の芽生えが進むと、自分で自分のことは決めたくて、親に口出しされるのが嫌になっていきます。乱暴な言葉で親を拒否するようになるわけです。

 

「クソババア」とか「うっせーな」を、私は「思春期語」と呼んでいて、翻訳すると「お父さん、お母さん、放っておいてください」になります。実は、そういうことを言う前に、少し反抗してみるとか、子どもなりにサインを出していたりするんです。でも、そこで親がひかなかったりして、子どもの心に不満がくすぶり続けると、ある日、何かのきっかけで乱暴な言葉が出てきます。

 

でもそのとき、親がそれ以上踏み込まなければ、それ以上、反抗を強めることはほとんどありません。それに「放っておいてください」と同時に、「困ったら必ず助けてっていうから」という気持ちもちゃんとあります。

 

「思春期の『クソババア』は、子どもからの大事なメッセージ」と語る田村節子さん

 

── 自立するためにいったん親と距離をとる必要があるんですね。

 

田村さん:

そうです。反抗期は、蚕で言えば、今まで幼虫だったのが自分の周りにまゆをつくっているような状態です。まゆという壁で親と距離をとって、自分なりに決断をする機会を少しずつ増やすなど、じっくり自分をつくっていきます。

 

まだ一人では不安だから、実際には友達とくっついているわけですけど、親とは壁を作って、自分なりにいろいろと試しながら成長していく。それが反抗期です。自分をつくり終えて、殻を破って出てきたら、もう平気なんですが、その途中で親が間違った行動をとると、上手く自立できません。

「根ほり葉ほり」が子どもを枯らす

── 親の間違った行動とはどのようなものでしょうか?

 

田村さん:

心配だからと、根ほり葉ほり子どもに聞いて干渉することです。「来ないで」とサインを出されているのに、深追いするのは本当によくありません。

 

蚕がまゆの中でじっくり自分をつくろうとしているときに、外から強引に糸を切ったり、切って中身を出してしまったら成長しませんよね。根ほり葉ほり聞いたり、深追いして干渉するのは、子どもにとっては、そうされているのと同じことなんです。

 

子どもはそんな親を跳ね返すために「クソババア」と言う。それは「これ以上来ないで」「困ったら助けてっていうから」というサインなのに、それでもなお深堀りしてしまうと、「困っても親なんか絶対頼らない」と、完全拒否になってしまいます。そうすると、子どもが困ったときに親に相談するという行為までも封じてしまうことに。

 

精神科医の神田橋條治先生がおっしゃっていたのですが、「植物は、根掘り葉掘りすると枯れる。人も同じだ」と。子どもも根ほり葉ほりすると枯れちゃうんですよ。



── 子どもが反抗的で親が悲しい気持ちになっても、子どもを尊重して見守ると切り替えることが必要なんですね。

 

田村さん
尊重はするけれど、すべて子どもの言うとおりにしなければいけない、と言っているわけではないんです。たとえば、子どもに嫌な言葉を言われて、すごく嫌だったらそのように伝えていいと思います。「そんなこと言うな!」と言うとぶつかりますけど、「そんなことを言われたらすごく悲しい」と正直に伝えるのはいいと思います。

 

それから親に事情があるのであれば、しっかり説明すればいい。子どもは理解しますから。

 

親の気持ちは伝えたうえで、子どもを片眼で見るというイメージでいると上手くいくと思います。小さいころのように両目でじっと見るのはもうやめて、ある程度、子どもに任せて、あえて見ないようにする。「片目をつぶる」という言葉がありますが、それくらいがちょうどいいんです。あまりすべてを分かろうとしないことですね。

 

── 子どもの様子がいつもと違って心配だなと思ったときは、どうすればいいのでしょうか?

 

田村さん:
いちばんいいのは、5分でも10分でもいいから、子どもの話を聞く時間を設けることです。心の中で「長男とのおしゃべりタイム」とか名前を付けて意識的に時間をとるのもいいと思います。

 

ひざにのせられる年齢だったら、ひざにのせて、抱っこしながら聞いてみてください。もっと大きくなっていたら、隣に座って話を聞きます。嫌なことや不満なことなど、子どもの話をただ聞く。それに対して、意見を言いたくなるのをぐっと我慢して、子どもの話を最後まで聞くのがポイントです。

 

話の内容に親が何と思おうと、一度子どもの気持ちを受け止める。そうすると、子どもは「分かってもらった」という気持ちになります。子どもは問題を抱えていると頭でぐるぐる考えて、「もう自分はダメだ」など心の視野が極端に狭くなることがあります。でも「分かってもらった」と感じると、心に余裕が生まれます。その余裕のおかげで正しく判断できるようになったり、正しく行動できるようになったりして、問題が自然と解決することが多いです。

 

問題を抱えたお子さんでも、これを数週間続ければ、たいてい解決します。ただ聞く、というのは、カウンセリングでも用いる方法ですが、家庭でもとても有効です。

 

 

田村さんが取材中におっしゃった「親に反抗できるのは、自分の意思が強い子に育っている証拠でもあります」という言葉が印象的でした。そのまま大人として自立できるよう、子どもを信じて見守ることの大切さを教わった気がします。

 

PROFILE 田村節子さん

東京成徳大学大学院教授・博士(心理学)。長年、小中学校のスクールカウンセラーを務める。著書に『子どもに「クソババァ」と言われたら-思春期の子育て羅針盤-』など。

取材・文・撮影/木村彩

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