シリアスと笑いの絶妙なバランス

 

©︎『洗骨』製作委員会

 

愛する人の死、そして残された家族の確執。これだけを見ると、ちょっと重めの作品なのかと思いますが、さすが笑いのプロ! 照屋監督が描くシリアスと笑いのバランスが絶妙なんです。沖縄という土地柄もあるのかもしれませんが、ゆるさと独特の空気が流れ、そして心がじんわりとあたたかくなるのを感じます。

 

©︎『洗骨』製作委員会

 

洗骨という風習の違いはあれど、「お葬式ってどこもこんな問題あるよね」という小ネタもしっかり入っていて、思わずクスッと笑ってしまいます。家族の絆、祖先からの命のリレーを軸に描かれているのですが、現在自分が生きている、生活している社会、つまりご近所や仲間たちとのつながりがプラスされることで、“今の自分”が成り立っていることを実感します。

 

長男・剛は、洗骨をきっかけに自分を見つめ直します。剛と同じように忙しい日々を過ごすママ・パパたちは、そんな剛の姿に何か考えさせられるかもしれません。クスッと笑える家族の絆の物語。ぜひ、家族で笑いながら楽しんでみて。

 

文/タナカシノブ