2018年から、配偶者特別控除が大きく変わったことをご存じですか? これにより、「控除内で働きたい!」と思っているママたちの働き方も、大きな転換期を迎えています。 働き方改革が叫ばれる昨今において、「控除内で働きたい!」というママたちの思い、そして実際の働き方はどう変わっていくのでしょうか。 配偶者特別控除の変更点と共に、具体的な働き方のポイントをまとめます。
■2018年の制度変更、何がどう変わったの?
配偶者控除や配偶者特別控除は、もともと専業主婦や収入が少ない配偶者を持つ納税者の、負担を軽減する目的で作られた制度です。妻が仕事量をセーブして、収入を抑えることで、夫の収入から引かれる税金の金額を、少なくすることができます。 幼い子どもを養育する世帯においては、なかなか理にかなった制度と言うこともできますが、この制度があるために、貴重な労働力をセーブしてしまう方がいるのも事実です。 一時期は「廃止」議論もありましたが、結局のところは、配偶者控除に関しては、夫の年収に応じて控除額が減少する仕組みを採用。それと共に、配偶者特別控除の拡大を決定しました。 この配偶者特別控除の変更により、妻の年収が「150万円」までであれば、夫は配偶者控除と同額の38万円の控除を受けることができ、それ以上であったとしても「201万円以下」であれば、段階的に控除が受けられる仕組みとなっています。 配偶者控除と配偶者特別控除で、頭がゴチャゴチャになってしまいそうですが、要は「これまで103万円を超えると控除額が下がっていたけれど、夫の年収が1,120万円以下の場合、それが150万円までOKになった」ということです。
■働く時間を増やして収入アップも可能!
妻の年収が150万円までであれば、これまでと同じ控除を受けられるのであれば、「もう少し働く時間を増やして、収入を増やそうかな……」と考えるママも増えるのかもしれません。 これまで103万円でセーブしていたところが、150万円まで稼げるとしたら、月当たりの収入は3~4万円アップします。非常に大きな収入増と言えるでしょう。 しかしここで注意が必要なのが、いわゆる「130万円の壁」。今回の制度改革で突破されたのは、いわゆる「103万円の壁」なのですが、その後には、さらに大きな「社会保障の壁」が立ちはだかっています。 妻の年収が130万円までであれば、妻は夫の社会保険上の扶養家族として認定されます。このラインを超えなければ、妻は健康保険料も厚生年金保険料も支払う必要はありません。しかし年収130万円を超えると、妻自身が健康保険や厚生年金に加入しなければならなくなり、かえって手取りが減少してしまうのです。 「130万円の壁」による影響は、実は過去の「103万円の壁」よりもずっと大きく、配偶者特別控除が変更された今でも、変わりなく主婦の前に立ちはだかっているのです。
■働き方をじっくり見極めることが大切!
配偶者特別控除が拡充されたことにより、主婦として、ママとして仕事をする女性たちは、より多くの選択肢の中から、自分に合った働き方を選べるようになっています。 まずは「できる限り支払う金額を抑えたい!」という場合には、「年収130万円」を超えないように調整するのがオススメです。 年収100万円を超えると、妻自身の所得税や住民税を支払う必要はありますが、この程度の金額であれば、それほど大きな税額にはなりませんから、「働いた方がお得」と感じる方も多いことでしょう。 一方で、配偶者特別控除の拡充により、「130万円の壁も突破して、もっと自由に働きたい!」と願う女性たちも増えてきています。 こちらの場合では、年収と社会保険料による支出のバランスを、冷静に見極める必要があります。年収170万円程度までの場合、社会保険料の支出により、「年収129万円までに抑えた人」と比較して、手取りが減少してしまうことになります。 130万円を超えても、できるだけ多く、そして効率よく働きたい!と思うときには、思い切って年収180万円程度を狙ってみるのがオススメです。 とはいえ、年収130万円~170万円の、手取りが減少するラインであっても、自分自身で厚生年金に加入することで、将来的に得られる年金の金額はアップすると考えられます。全くの無駄になるわけではないので、このあたりも考慮した上で、自身の働き方を決定するのがオススメです。