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育児と仕事、両立したい。ママでも、キャリアアップを目指したい。……と、「転職」を考えるママは意外と多いのです。そこで、これから転職活動をするママに向けて、ママだからこそおさえておきたい「転職マナー」をおさらい。

 

大学時代に第一子を出産し、新卒の際は既にママ。その後三人の子どもを育てながら、転職。現在では四人のママとして、プロジェクト型の新しい働き方で企業と個人をマッチングする「CARRY ME」の役員を担当。実体験をもとに、女性のキャリア・働き方についてノウハウを発信し続けているFlexible Career代表 の毛利優子さんに話を伺いました。

 

第三回目は、「面接を受ける」際のマナーについてです。

 

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志望動機の答えかたで、ママがやりがちなNG事項

面接官として、転職志望者のママの面談をすることも多いという毛利さん。面談をするなかで、ママがやってしまいがちな“NG事項”について教えてもらいました。

 

「ママの面接者でかなり多いのが、“子育てに理解がある会社だから御社を希望します”という志望動機です。これは、実は企業にとってマイナスにしか映りません。その原因は、“自分にとってのメリット”を表現として使っていること。そこには、企業側の視点がありません。転職の面接では、自分がその志望企業でどのように貢献できるかをアピールしなければなりません。その視点が抜けてしまうということは、仕事に対しても自分目線で進めてしまうのではないかと思われ、落とされてしまう可能性が高いです」

 

会社の方針に賛同し、褒めているつもりだったこちらのアピール、してしまいがちではありませんか?

 

「たとえ働くママを応援したいと思っている代表の人でも、自分にとってのプラスだけを志望動機としてアピールされてしまうと、ゲンナリされてしまいます。企業も時間とコストを相当かけて採用をするので、受ける側としてもそこをある程度認識しないことには“ビジネスの感覚が鈍い”と思われることもあります」

 

志望動機でアピールしたいのは、いままでのスキルと実績。そのうえで会社にどう貢献できるのか、ということを述べたいところです。子育てに理解があるから希望している、というのは付け加える程度でOK。

自己PRは第三者の視点で

いろいろな面接のパターンがありますが、面接官から「自己PRをしてください」としょっぱなからいきなりボールを投げられることもあります。

 

「自己PRといっても、企業側が知りたいのはいままでの職歴についてがほとんどです。ただし、職務の羅列をするのでは“職務経歴書を見ればわかる”となってしまいます。実績と絡め、何を達成してきたかなど完結に成果をアピールしつつ、その成果を得るために具体的にどんな努力をしたかを伝えると良いでしょう。

 

ポイントは、できるだけ数字で表現できるものは、数字で伝えること。例えば、“請求業務の全体フローを見直し、時間を一番要していた承認作業をオンラインにすることで、請求業務にかかる時間を20%削減しました”など。客観的な評価はとても大切です」

 

頑張りました、努力しました、という“自分の評価”は、アピールポイントとはならない。

 

「数字での表現が難しい場合は、上司など第三者からこういう点を評価してもらった。お客様にこういった部分で喜ばれた。など、客観的な評価を付け加えて」

 

具体的なエピソードを用意して、それを裏付ける情報とセットにしてあげるといいそう。

 

「仕事と関係ない自己PRをする場面では、“タフな状況でも精神的にたえられる”、“リーダーシップをとるのが得意” “細かい作業が苦にならない” など、受ける職種とマッチさせた内容をアピールしてくださいね」

キラー質問に答えられるように答えを用意しておく

「自分は大丈夫、と思っていても、いざ面接の場でいきなり質問をふられると、緊張して思うように話せないということも多くあります。必ず、考えうる質問には答えを用意しておくようにしましょう。とくに、答えにくい質問に対しては、入念に回答の準備を用意することが大切です」

 

答えにくい典型的な質問の解答例について見ていきましょう。

【質問例①】子どもが熱がでたらどうしますか?

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=【解答例】「基本は私が子どもの送迎を担当しているので、そのような場合も業務がとどこおりがなくなるようにマニュアルを作ったりチームで仕事をして相手に迷惑がかからないように可視化するように日頃から努めています。あとは病児保育を扱うベビーシッターなどにも登録して、お休みが長引いた時の対応策もするようにしています」

 

これは、ママの転職でよく聞かれる質問。子どもの発熱には、具体策を考えておくことが必要。まだサービスに利用していなくても、病児保育やベビーシッターなど代替案の用意をしていることを伝えるだけで全然印象が違う。

 

「もし対応が実際は厳しい場合でも“代わりはいません”などで終わっちゃうと、やる気がないように映ってしまいます。また、仕事上でもこういったコミュニケーションをクライアントととってしまうのかな、という不安材料になってしまうことも。できないことは、対策を考えるという思考回路で臨んでください」

【質問例②】残業できますか?

=【解答例】「大変申し訳ないんですけれども、子どもを保育園に通わせていますので日々の残業は難しいです。ただ、繁忙期などある程度事前に分かる場合であれば、家族間で調整することは可能です(最後はポジティブな内容で終わらせる)」

 

こちらも「できません」では終わらせないこと。難しいなら、難しい理由をきちんと述べることが大事。

 

「また、残業の頻度が気になったらしっかりと確認していいと思います。残業が月の半分あるということであれば、自分がその会社で本当にやっていけるのか、ということを判断する基準にもなります」

 

あとは、「出勤時間を早めることは可能ですか?」とか「自宅にもちかえってもいいですか?」などの代替案を提案することも有効だそう。

【質問例③】退職理由は?

=【解答例】「どうしても時短になると職種変更をせざるをえない職場でしたが、私は営業の仕事にやりがいをもっていて、限られた中でもまたチャレンジしたいと思い、転職を決意しました」

 

「前職の悪口になるような表現は、絶対にNG。育児との両立が難しくて転職をする場合も、転職先で実現したいことを前向きな表現で語るようにすることが大切です」

【質問例④】2人目は考えていますか?

=【解答例】「当面はすぐには考えていません。まずはお仕事に慣れたいと思っています」

 

このような、ハラスメントに該当するような質問も、実際の現場では未だにありえるのだそう。

 

「本当に2人目を考えていても、予定は未定ですぐに妊娠できるかもわかりませんよね。面接の場では深堀りせず、うまくかわすと無難です」

【質問例⑤】最後に、何か質問はありますか

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=【解答例】「お子さんがいらっしゃって活躍している社員のかたはどれくらいはいますか?」「どういうスキルを必要とされていますか?」「具体的な日々の業務はどんなことがありますか?」など……

 

最後にありがちなこのやりとり。

 

「ただ、“ありません”で面接を終わらせるよりも、何かプラスに働くような内容で質問すると会話も広がりますよね。会話のキャッチボールがあるほうが、合格には近づきます。“話がしやすい”というのはとても好印象ですし、一緒に働くイメージがしやすいので。ぜひこのチャンスを活かして、実際その企業で自分がどんなキャリア・働き方を実現できるのか具体的なイメージを持てるように質問してみてくださいね」

 

「面接を一方的に値踏みされる場所だって思わないで、自分も会う会社かどうか見定める場所ということで、落ち着いて臨んでください。聞きたいことがあれば、企業側にもどんどん質問をするといいですよ」

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監修者PRPFILE 毛利優子さん


女性のキャリア・働き方の専門家、Flexible Career(フレキシブルキャリア)代表、兼 プロジェクト型の働き方で企業と個人をマッチングする『CARRY ME』のCMO(最高マーケティング責任者)。大学在学中に長男を出産。大学卒業後、新卒でありママであるという状態で就職したという経験を持つ。その後、20代後半で子どもが3人いるという状態で監査法人の事務職から完全未経験のWebサイトの企画・ライター職種に転職。それらの経験を生かし、仕事をしながら子育てをする女性を応援するためのノウハウをまとめたWebサイト『働くママプラス』を企画・リリース。月間10万PV以上、収益化を実現し、MVPを受賞する。現在では、4人の子育てと仕事を並行しながら、「時間」ではなく「成果」で評価される新しい採用・働き方を広めるために奮闘中。著書に『働きたいママの就活マニュアル』(自由国民社)、『これで解決。働くママが必ず悩む36のこと』(日本実業出版社)がある。

 

取材・文/松崎愛香 イラスト/村林タカノブ