
特集2回目は、2019年に厄年に当たる人もそうでない人も、知っておきたい「厄祓い」「厄除け」について和文研究家の三浦康子先生にお聞きしました。
神社とお寺、初詣はどちらに行くのが正解?意外と知らない正しい参拝方法
Q:パパが厄年でもママには関係ない?

「厄」には災い、苦しみ、災難、不幸という意味があり、「厄年」は災難や不幸に遭遇することが多いとされる年齢のことです。当年を「本厄」と呼び、不慮の事故やけが、病気などの災いに遭う率が高いとされていますが、各厄年の前年は「前厄」、後年は「後厄」と呼ばれ、いずれも警戒すべきとされています。
一般的には、厄年の年齢は数え年、つまり生まれた年を1歳とカウントし、新年のたびに1歳を加えて数えます。
・男性の厄年 25歳・42歳・61歳 ・女性の厄年 19歳・33歳・37歳
特に男性の42歳、女性の33歳は「大厄」とされています。CHANTO世代のみなさんは前厄・本厄・後厄を合わせるとかなりの期間、警戒が必要ということになります。
※地域によって自分の干支に該当する年を厄年としているところや見解の異なる社寺もあります。
Q:厄年の人は節分に豆まきをするといい?

ほかにも全国各地で厄から逃れるためにさまざまな風習が行われてきました。主なものをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください!
・神社や寺院で厄祓いや厄除け祈願をする ・元旦のおとそは飲む順番を最後にして、みんなから厄を祓う力をもらう ・正月と小正月(1月15日)、または正月と節分に厄落としをすることで、正月が2回きたことになり、厄年もお終いと考える ・厄除けとなるものを身につける ・できるだけ外出を控えたり行動を慎むなどして災厄に遭わないようにする
Q:厄祓いはお寺でできる?

・厄除け…災厄が近づかないよう、お寺で祈願祈祷してもらうこと(*厄除けをしてくれる神社もあります) ・厄祓い…災厄をもたらす罪や穢れを祓うために、神社で祈願祈祷してもらうこと ・厄落とし…自分の大事なものを落としたり、ご馳走をふるまって他人に得をさせて自分に損をさせるなど、自ら災厄をつくりだし、今後ふりかかるかもしれない厄を落とすこと
ちなみに厄除けや厄祓いの相場は5,000〜10,000円です。社寺によって金額は異なりますので、事前に確認しましょう。
いい初夢を見る方法ってあるの?
新年早々縁起のいい夢を見ると、「今年1年いい年になりそうだな」と気分が上がりますよね。縁起のいい初夢を見るためのおまじないがあるので、ぜひ参考にしてみてください。Q:そもそも初夢とは大晦日の夜〜元日の明け方に見る夢のこと?

立春をお正月としていた昔は「立春の朝の夢」「節分の夜から立春の明け方までの夢」を初夢と呼んでいました。暦が変わり、「大晦日の夢」をさすようになり、やがて大晦日に寝ない習慣ができたことで「元日の夢」に変わりました。さらに物事が始まる日が2日という考えから「2日の夜に見る夢」が一般的になっていきました。
広義では「その年最初に見た夢」と考えられています。
Q:「一富士、二鷹、三茄子(いちふじ、にたか、さんなすび)」は
縁起のよい夢ベスト3といわれますが、
「一富士」はエベレストの夢でもいい?

「二鷹」は、鷹、または鳥のように大空を舞うものが出てくる夢。空高く羽ばたく様子が可能性の広がりや自由な行動力を表し、開運や夢の実現につながるとされています。「三茄子」は茄子、果実、野菜など実るものが出てくる夢。「事を成す」「財を成す」に通じ、蓄財や子孫繁栄を表すとされています。
昔は夢の内容で1年を占ったことから、初夢にこだわるようになりました。昔は「夢合わせ」という夢分析で吉凶を判断し、それが行動に影響しました。江戸時代には夢を買い換える商売まであったそうです。
Q:もし悪い夢を見たら笑い飛ばすのが正解?

でもせっかくなら縁起のいい夢を見たいですよね。そこで縁起のいい夢を見るためのおまじないをご紹介します。
・七福神や宝をのせた宝船の絵、悪い夢を食べてくれる「獏」の字を枕の下に敷いて寝る ・「長き世の 遠の眠りの みな目覚め 波乗り船の 音のよきかな(ながきよの とおのねぶりの みなめざめ なみのりぶねの おとのよきかな)」と回文をとなえる。回文とは上から読んでも下から読んでも同じになる文のこと。これを紙に書いて枕の下に敷いて寝るのもいい
いい初夢が見られますように!
次回は、「お年玉」や「干支」についてお伝えします。
監修プロフィール/三浦康子(みうらやすこ)
和文化研究家、ライフコーディネーター。古を紐解きながら今の暮らしを楽しむ方法をテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、WEB、講演などで提案しており、「行事育」提唱者としても知られている。All About「暮らしの歳時記」、私の根っこプロジェクト「暮らし歳時記」などを立ち上げ、大学で教鞭もとっている。著書『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』ほか多数。http://wa-bunka.com/
取材・文/田川志乃 イラスト/クリハラタカシ