日常生活のなかで、意識して肛門を締める!
治療中は肛門を清潔に保つとともに、強い刺激を与えないことも大事です。排便後は、できればやわらかいトイレットペーパーを使い、やさしく押さえるように拭きましょう。ウォシュレットも役立ちます。弱い水圧で、温水で洗浄すると、肛門周囲の血流もよくなります。八田先生いわく、 「身体を温めるケアも効果的です。シャワーだけですませず、湯船にゆっくりつかって身体を温めると、便秘解消にも役立ちます」
八田先生のお話では、骨盤底筋トレーニングがよい影響を与えることもあるそう。肛門の周囲には、「肛門括約筋」という筋肉の層があり、さらにその周囲にも、骨盤を支える筋肉の層が重なっています。これらの筋肉が、肛門を締めたり、ゆるめたりする排泄機能にもかかわっていますが、出産のときにこれらの筋肉が一時的に傷んだり、伸びてしまうことがあるのです。 「肛門をキュッと締めて、ゆるめることをくり返すと、肛門の締まりがよくなり、痔を悪化させないことにつながります。痔に悩む女性も、そうでない女性も、産後はできるだけ意識しておこないましょう。お産でゆるんだままのおしりをほうっておかないよう、顔と同じように、日々のケアを心がけてくださいね」
取材協力/八田真理子先生(聖順会ジュノ・ヴェスタクリニック八田 院長)
1990年聖マリアンナ医科大学卒業。順天堂大学、千葉大学、松戸市立病院産婦人科勤務を経て、1998年より現職。思春期の女の子への性教育から、成人女性の不妊治療、更年期治療まで、幅広い年代の女性の幸せを願い、治療にあたっている。
取材・文 川西雅子