不倫を経て結婚した、いわゆる「略奪婚」を果たした妻たち。いろんなものを壊したり失ったり、周りを悲しませたりしてまで果たした、愛する人との結婚生活…にもかかわらず、彼女たちが語る「地獄」とは、一体どんなものなのでしょう？ 略奪婚後に悩みを抱える奥さんたちのお話を聞きました。
略奪婚までこぎつけたけど、私も同じ目に遭うのかな…（さおりさん/30歳/事務職）
不倫の末、彼が離婚してくれたので結婚しました。周りからは「略奪婚」と言われたけれど、彼のことが大好きだったし、不倫関係で長い年月を過ごしたので、ようやく一緒になれることに幸せだけを感じていました…でも、その幸せも長くは続きませんでした。現実は、私が思い描いていた理想とは大きく違うものだったんです。 最初は新婚気分で楽しく過ごせていましたが、だんだん彼の態度が変わってきました。優しさはかけらもなくなり、帰りも遅くなる一方。私のことは「家政婦」としてしか見ていない、そんな態度がつらいです。 いま思うと、前の奥さんにもこんな感じだったのかもしれません。我慢をしていたのですが、朝帰りをしたときに限界を迎えました。彼を問い詰めると、逆ギレされて物を投げつけられ、それからは怖くて何も言えません。 結局、彼は「妻がいて彼女がいる」っていう生活が、やめられないんだと思います…奥さんだけでは満足できないんでしょうね。いつか私も略奪される日が来るのかな。不倫関係のなかで、彼の本質を見抜けなかったことに、後悔でいっぱいです。
略奪婚の代償は、周りからの厳しい視線でした（りなさん/27歳/アパレル）
私と彼が仲よくなったのは、彼にまだ奥さんがいたときのこと。離婚が決まってから正式におつき合いして、入籍しました。なので略奪婚をしたつもりはないのですが、周りからすると、私は「離婚の原因となった悪い女」のようなんです。 彼と前妻は同級生で、私と共通の知り合いもたくさんいます。田舎ということもあり、「人の旦那を略奪した女」という噂はあっという間に広がりました。地元の友だちも親しい友人も、みんな私のことを「女の敵」と見て離れていきました。親戚からも白い目で見られる始末だし、仕事先でも噂は流れているようで、完全に孤立した状態で過ごしています。 噂されることは覚悟していましたが、ここまで嫌われるとは思いませんでした。将来、子どもができたとき、子どもにまで悪影響が及ばないかといまから不安です。できれば引っ越したいですが、そう簡単にはいきません。地獄はまだまだ続きそうです。
不倫の末に掴んだものは、後悔（あきなさん/31歳/飲食業）
不倫の末に去年、彼と結婚しました。既婚者とわかっても大好きだったし、彼も私を一生懸命愛してくれて。最初から「妻とは離婚したい、冷え切った関係だ」と言っていたので、不倫していても正直、罪悪感はありませんでした。 周りがどう思おうが気にならなかったし、一日でも早く一緒になりたくてしょうがありませんでした。彼の離婚が成立してすぐ、家族の反対も聞かず入籍しました。いま思えばお互いに、「障害のある恋愛」に舞い上がっていたんだと思います。 障害もなくなり、いざ夫婦になってみると、関係はすぐにぎくしゃくするようになりました。生活のことやお金のことなどの具体的な話はしてこなかったし、不倫関係のある種の熱狂のなかでは、お互いの価値観や性格を理解し合うことができていませんでした…不倫という「危険な恋に恋していた」だけだったんですよね。 冷静になってみると、もっといい男は周りにいたと思います。「この先、ずっと一緒にいないといけない」って考えると、結婚を早まったと後悔しています。人生の大きな選択を誤ってしまった、自分の幼さを痛感しています。
不倫の末の略奪婚…幸せとは限らない？
「障害を乗り越える恋愛」というドラマチックな設定の中で、相手のことを冷静に「結婚相手」として見られなかった後悔。思いのほか強かった周囲からの風当たり。そして１人の女性では満足できない男性を愛してしまった過ち…略奪婚で「好きな人」を手に入れたからといって、必ずしも「幸せ」まで手に入れられるわけではない、厳しい現実があるようです。
