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毎晩続く夜泣きにいつまでつき合えばいいの…!?トイレトレーニングが終わらない…!など、育児の悩みはつきません。どうしてもうまくいかない…。自分を追いつめそうになったとき、ほかの国の育児事情に目を向けてみませんか?

 

日本ではあたりまえとされていた育児論も、意外と海外では誰も知らなかったなんてことも。視野を広げることで、気持ちがラクになるかもしれません。

 

アメリカと日本での育児経験をもとに、ぜひ知ってほしい、海外の育児情報を定期的にお伝えします。

 

[過去の記事はこちらから]

第1回|

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第2回|

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第3回|

この夏ついに日本でも解禁の”液体ミルク”!そのメリットや上手な使い道は?

第4回|

米国ワーママの必需品"さく乳器"で母乳育児にもう悩まない!

第5回|

手作りはあり得ない⁉︎アメリカ育児の離乳食は市販がメイン

第6回|

世界中で大ブーム!? 自主性を育てる離乳食・BLWって何!?

 [第7回 アメリカの夜泣き対策]
ネントレ「Cry it out」とは?

赤ちゃんを育てているお母さんの一番の悩みは、睡眠にまつわること。寝かしつけがうまくいかなかったり、夜泣きが多かったり…。度々起こされると、ママ自身も眠れなくてイライラが募りますよね。赤ちゃん自身の成長のためにもいいと、日本でもネンネトレーニング、通称ネントレが注目されていますがアメリカではどうなのでしょう?

赤ちゃんが泣いても放置!?驚きネントレ方法


ネントレは、アメリカではsleep trainingと言われ、いくつか種類があります。その中でも一番有名なのが「Cry it out」という方法。日本では「泣かせるネントレ」と言われています。

 

Cry it outは、寝かしつけ時に赤ちゃんをひとりにして、泣いてもすぐにあやしたりせず放置。そのままひとりで寝かせます。

 

日本では、親と一緒に寝たり、夜泣きしたら抱っこするのが当たり前ですから、ひとりで泣かせっぱなしにするなんて信じられませんよね。かわいそうな気がしますが 、泣かせっぱなしにすることによって赤ちゃんが自分で眠れるようになるというネントレなんです。専門家によってやり方に違いがありますが、主流となっている方法をご紹介します。

ネントレ「Cry it out」のやり方は?


Cry it outは生後4~6ヶ月ごろにスタートするのがおすすめですが、どの月齢でも大丈夫と言われています。

 

赤ちゃんが親と離れて眠ることが重要なので、親と別に眠れる部屋にベビーベッドを設置します。アメリカでは、生後早い段階から子どもに子ども部屋を与え、親子が別々の部屋で寝るのが一般的。日本で子ども部屋の確保が難しい場合は、赤ちゃんが静かに眠れる場所を確保しましょう。赤ちゃんを泣かせっぱなしにするので、寝具は布団よりベビーベットの方が安全です。

 

寝る時間になり、赤ちゃんがうとうとし始めたらベビーベッドに寝かせ、部屋を暗くして出ます。もし赤ちゃんが泣いたとしても部屋には入らず、泣き止むのを待ちます。泣き続けるようだったら一定時間そのまま放置します。
一定時間が経ったら部屋に戻り、3分くらい背中をトントンしたり、静かに声をかけたりして赤ちゃんを安心させてください。ここで大切なのは、決して抱き上げないことだそう。抱き上げると「泣けばママが抱っこしてくれる」と覚えてしまい、泣きが激しくなるためです。そして数分経ったら赤ちゃんが寝なくてもまた外に出る、しばらくしてからまた部屋に入る…を寝るまで繰り返します。

 

最初の夜は3分後、次は5分後、次は10分後…と部屋に入るタイミングをあけていきます。2日目も5分後、10分後、12分後…と伸ばし、3日目以降もその間隔をあけていきます。間隔は親がやりやすい時間で調整しても構わないそう。これを数日間繰り返すことで赤ちゃんはひとりで眠る方法を学び、夜に目覚めても自力で再び眠りに戻れるようになるのだそう。そのため寝つきも良く、夜泣きもなくなるというわけです。

 

実際に試してみたママによると、「長女は4ヶ月の時に挑戦しましたが、30分ほど泣いて私の方が聞いていられなくなり断念しました。そのため、長男の時は耳栓をして泣き声が聞こえないようにしました。初日は90分泣き続け就寝。2日目は20分、3日目は5分で寝るように。長女の時に諦めずに頑張ればよかったと大変後悔していますとその効果を話してくれました。

ネントレ「Cry it out」のデメリットとは?


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ネントレ「Cry it out」を日本で取り入れるには、ご近所に対する泣き声の配慮が必要。もし可能ならご近所にひと声かけておくと安心です。

 

また、一人で眠らせるためSIDS(乳幼児突然死症候群)やうつぶせ寝による窒息などのリスクが高まります。固めのマットレスに寝かせる、こまめに状況を確認するなど安全面にも気を使いましょう。ベビーモニターなど活用するのも有効な手段です。

 

ネントレ「Cry it out」には賛否両論あります。 先にあげた安全面の理由と共に、赤ちゃんを泣かせておくことで親子の愛着に問題が出る恐れがあると指摘する専門家もいますし、そのぶん昼間に愛情をたっぷりかけてあげれば大丈夫という意見もあります。主流な方法とはいえ、アメリカでもその是非が議論となっており悩むアメリカのママも多いそう。

 

しかし、重視したいのはママがそれをやりたいかどうか。赤ちゃんを泣かせてしまうことに罪悪感やストレスを感じてしまうようならネントレ「Cry it out」はやめておいた方がいいかもしれません。でも夜泣きが続くことでママに疲れやストレスが溜まり、イライラを赤ちゃんや家族にぶつけてしまって苦しいようなら試してみる価値は十分あると思います。

 

話を聞いたアメリカのママも「2人目を産んだ時に、お医者さんからはCry it outで最長2時間は泣かせなさいと言われました。そして”最初は泣き声が聞こえて心が折れそうになるけれど、お母さんが質の高い睡眠を十分に取ることで日中赤ちゃんに穏やかな気持ちで接する事の方が大切だよ”とも。私は一人目の時に産後うつになり、睡眠の重要性をわかっていたので2人目の子には絶対スリープトレーニングをしようと思っていました。だから、先生に背中を押してもらえたのは嬉しかったです」と話していました。

 

また、ママだけではなくこの方式が合わない赤ちゃんもいて、数日試したけれど全然寝付かないというケースもあるそうです。試してみる場合にはそのことも頭に入れておいて、自分の子どもに合っているのか判断するようにしましょう。


 

赤ちゃんを泣きっぱなしにするなんて、日本では考えられないCry it outの方法。日本語でも「泣かせるネントレ」としての専門書や説明サイトもありますので、そのメリット、デメリットを十分に理解した上で、取り入れてみてくださいね。

 

文/阿部祐子