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現在、毎週日曜日午前9時00分〜(テレビ朝日系)放送されている、仮面ライダーシリーズ最新作『仮面ライダービルド』。テレビ番組もいよいよクライマックスを迎えるなか、8月4日からは映画も公開されるとあって、子供たちは大興奮!…といったところかもしれませんが、「テレビ版、全然観てなかったから、子供と映画館に行ってもあらすじがまったくわかんない」というパパ・ママも少なくないのでは? そこで、今回は映画公開SPECIALと題し、登場人物やこれまでのあらすじを無理やりギュッと凝縮。5分で読める程度にまとめました。仮面ライダー初心者のあなたでも、これで子供と映画を思いっきり楽しめるようになるはずです! 劇場版には、数多くのエキストラの方々が参加。「全国民がビルドを襲う」という驚愕のストーリーに、ビジュアル的な説得力を与えています。

 

『仮面ライダービルド Be The One (ビー・ザ・ワン)

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颯爽と愛車マシンビルダーで街を駆けるのは、愛と平和、そして人々の未来を守るために命を懸けて戦うヒーロー、仮面ライダービルドです。1971年の誕生以来、“仮面ライダー”というヒーローは常に“変身”し、進化を遂げてきました。その歴史は、間もなく半世紀に届こうとしています。

 

【仮面ライダーの歴史】

『仮面ライダー』シリーズは、各作品の個性が強く、いまや全作品に共通する要素はないと言って良いのですが、原作者・石ノ森章太郎先生が逝去された後にスタートした、いわゆる「平成ライダー」の作品群においても、根底の部分で受け継がれているのが、“仮面ライダー”が「悪(人類の敵)のテクノロジー」によって生まれたヒーローである、という点です(もちろん、例外はありますが)。 仮面ライダー1号は、世界征服を企む悪の組織・ショッカーが生み出しましたが、改造された青年科学者・本郷猛は洗脳を免れたため、ショッカーから人間の自由を守るために、長く孤独な戦いを続けていきます。自らが異形の改造人間になってしまったという哀しみを抱えた仮面ライダーにとって、ショッカーによる被害者をこれ以上、増やさないということが、自らに課した大きな使命だったのです。ここで言う「孤独な戦い」は、「報われない戦い」と言い換えても良いかもしれません。「孤独」、そして「異形」もまた、日本を代表するヒーロー“仮面ライダー”を象徴する重要なキーワードでしょう。 平成シリーズとしては19作目となる『仮面ライダービルド』は、もちろん最新の映像表現を駆使して製作されている作品ではありますが、物語を構成する要素は、実に“仮面ライダーらしい”ものであると言えます。 劇場版においても、主眼となるのは、主人公・桐生戦兎の「報われない戦い」です。もう一度、上の写真をご覧になってください。マシンビルダーに乗ったビルドは、大勢の人々から追われています。直接の原因は、人々が地球外生命体・ブラッド族から洗脳を受けたためではあるのですが、『ビルド』の物語の中では、仮面ライダーは一貫して、戦争(国内での紛争)の“兵器”として描かれてきたのです。ビルドたちはまぎれもなく、人々にとっては「悪のテクノロジー」そのものの「異形の戦士(兵士)」なのでした。 昨年の9月から放送され、すでに40話を超えている『仮面ライダービルド』。その展開は綿密に練られており、細かく解説していくと、とても「5分」では終わりそうにありません。でも、「いまから観て、追いつきたい!」という方のために、ここから主要なキャラクターやライダーたちのことをご紹介していきたいと思います。『ビルド』の“仮面ライダーらしさ”も、感じていただければ幸いです。

 

【登場人物とあらすじ】

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仮面ライダービルドに変身して、スマッシュ(怪人)から人々を守るために戦う主人公・桐生戦兎(きりゅう・せんと)。この青年、自他共に認める「天才物理学者」で、ビルドの強化アイテムなども、自分で作ってしまいます。 そもそも、仮面ライダー1号の本郷猛も、そのIQの高さ(と、身体能力の高さ)を見込まれて改造されたわけで、その点では、戦兎は本郷猛に近いとも言えるでしょう。 それにしても「戦う兎」とは妙な名前ですが、これ、彼が記憶喪失状態だったところを保護した元・宇宙飛行士の石動惣一が命名したものでした。「戦う兎」ではなく、正確に言えば「戦車と兎」。ビルドの基本フォームである「ラビットタンク」と呼応しています。 しかし問題は、名前よりも戦兎の前歴でした。戦兎の正体は、かつて「悪魔の科学者」と呼ばれていたらしい、葛城巧(かつらぎ・たくみ)という青年だったのです。強化アイテムどころか、ビルド自体が、彼によって生み出されたものでした。 葛城巧は、火星で石動惣一(いするぎ・そういち)の身体を乗っ取り、地球へとやって来た地球外生命体・エボルトによって顔を変えられ、過去の記憶を消されて、桐生戦兎となったのです。 このエボルトが引き起こしたのが、10年前の「スカイウォールの惨劇」と呼ばれる事件でした。エボルトに憑依された石動をはじめとする宇宙飛行士たちが、火星から地球へと運んだ謎のパンドラボックス。その驚異の力によって、この国にはスカイウォールという巨大な壁ができて、東都・西都・北都の三つに分かれてしまったのです。さらに、パンドラボックスが放った光を浴びた人々は好戦的な性格となったため、三都は長きにわたって冷戦状態に入りました。 (宇宙飛行士たちの帰還セレモニーの際の事件だったため、政治家など社会的な地位の高い人々がこの光を浴びたわけです) そんな中、各都の軍事兵器として「開発」されたのがこの作品における“仮面ライダー”たちでした。やがて各都は、この国の覇権を争って、内戦へと突入。葛城巧としての記憶を失っているとはいえ、自分が結果として「戦争」に加担してしまったという事実から目を背けられなかった戦兎は、激しく苦悩するのでした。 そんな戦兎とともに、ずっと戦ってきたのが、元・格闘家の万丈龍我(ばんじょう・りゅうが)です。彼は殺人犯の罪を着せられて投獄されましたが、脱走。このとき、戦兎との出会いを果たします。恋人がスマッシュにされた挙げ句に命を落としてしまうなど、その名の通り、若くして波瀾万丈な人生を送ってきた万丈でしたが、やがて、さらに驚愕の事実が明らかになります。 万丈は、エボルトの遺伝子の一部が地球人の母胎を借りて、胎児にとりつく形で誕生した生命体だったのです。仮面ライダーに変身するために必要とされる「ハザードレベル」の上昇スピードが普通の人間よりも格段に速かったのはそのためでした。彼は仮面ライダークローズとして、ビルドと共闘するようになります。クローズの命名者は戦兎。その名には、戦いを「終わらせる」存在という意味が込められていました。 天才・戦兎は、万丈をずっと「筋肉バカ」呼ばわりしていて、親友というよりは「ケンカ友達」といった感じです。ただ、2人は、お互いがお互いにないものを持っていることを知っています。戦兎が落ち込んだときは、万丈が熱い言葉で奮起させます。その逆も、また然り。これまでにも平成ライダーシリーズでは、さまざまな「バディ」の関係が描かれてきました。

 

【ライダーシリーズで描かれる“バディ”】

『仮面ライダークウガ』(00年)では、主人公の五代雄介(オダギリジョー)と、彼の行動を支える刑事・一条薫(葛山信吾)。『仮面ライダーW(ダブル)』(09年)では「2人で1人の仮面ライダー」に変身する私立探偵・左翔太郎(桐山漣 ※レンの漢字は正しくはしんにょうの上に点がひとつ)と、謎の魔少年フィリップ(菅田将暉)。あるいは『仮面ライダーオーズ/OOO』(10年)では、我欲を持たない主人公・火野映司(渡部秀)と、彼を利用して「完全なる復活」を遂げたいという欲を隠さないアンク(三浦涼介)……。『仮面ライダー電王』(07年)における、全く運のない主人公・野上良太郎(佐藤健)と、彼に憑依して好き勝手に暴れるモモタロス(声:関俊彦)をはじめとするイマジンたちなども含めると、「バディ」要素が平成ライダーシリーズの大きな魅力を形成してきたと言えそうです。そんな、歴代のどの「バディ」とも違った戦兎と万丈の関係が、ここから先、劇場版やテレビシリーズの終盤で、どういったドラマを生み出すのか、注目していきたいところですね。桐生戦兎役の犬飼貴丈さん、万丈龍我役の赤楚衛二さんを中心としたレギュラーキャスト陣の演技も、クライマックスを迎え、ノリにノッているという印象です。

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▲倒れ伏せている戦兎と、背を向ける万丈。劇場版のこのシーンはいったい、何を意味しているのでしょうか……。
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▲怒りのエネルギーを迸らせて戦う、仮面ライダークローズマグマ(クローズの強化形態)。

握った拳に秘められた、万丈の思いとは?

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▲『ビルド』のヒロイン、石動美空(右)と滝川紗羽(左)。石動惣一を父に持つ美空のバングルには、滅亡した火星の王妃・ベルナージュの魂が宿っていました。ベルナージュは時に、美空の身体を借りて、エボルトと戦うビルドたちに助言を与えたり、不思議な能力で彼らをバックアップしたりするのですが、その魂にも、間もなく限界が訪れようとしていました……。滝川紗羽は、当初は戦争の裏で暗躍する企業・難波重工のスパイとして、ビルドの謎を探るべく活動していましたが、現在は戦兎や美空たちに協力しています。
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▲仮面ライダーグリス(左)と、仮面ライダーローグ(右)。当初はそれぞれ、北都と西都の仮面ライダーでしたが、彼らもまた、この国を――そして地球を守るべく、ビルドたちと力を合わせて、エボルトと戦うようになりました。
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▲仮面ライダービルドの最強形態であるジーニアスフォーム。ビルドへの変身には、ラビットフルボトル、タンクフルボトルといった、さまざまなエレメント(成分)が入った「フルボトル」が必要なのですが、このジーニアスフォームは、全60本のフルボトルが全身に装着されています。こういった「全部入り」のオールマイティな姿は、平成ライダーの「最終形態」の定番となっています。

 

『劇場版 仮面ライダービルド Be The One (ビー・ザ・ワン)

映画のみどころ紹介!

さて、8月4日公開の『劇場版 仮面ライダービルド Be The One(ビー・ザ・ワン)』では、エボルトとともに地球へやって来て、これまで裏で三都の政治家たちを操っていた「ブラッド族」の面々が姿を現します。「スカイウォールの惨劇」の後、この国に起こった大きな出来事のほとんどは、エボルトたち「ブラッド族」が関与していたのですが、なかなかエボルトの計画が進まないため、業を煮やした他の面々が大規模な「ビルド殲滅計画」を実行へと移しました。 この国の「戦争」は終わったはずなのに、いや、終わったゆえなのか、桐生戦兎=仮面ライダービルドは、新時代には不要な「軍事兵器」として、全国民から追われることになります。「悪のテクノロジー」によって生まれた「異形の戦士」は、やはり報われることなく、孤独な戦いを強いられて、やがて果てて行くのでしょうか……。 “仮面ライダー”そのもの、さらに言えば“ヒーロー”や“戦い”の本質をも正面から問い続けた『仮面ライダービルド』。この劇場版と、クライマックスへ向かうテレビシリーズで物語の集大成が示されていくことでしょう。フレッシュな若手俳優たちの熱演ぶりに酔いしれつつ、1年間にわたって続くドラマだからこその、大きなストーリーのうねりを味わってみてください。

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▲西都の新知事・郷原光臣と、北都の新知事・才賀涼香。藤井隆さん、松井玲奈さんが、冷酷な地球外生命体・ブラッド族を演じています。
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▲劇場版に登場する、シザーズロストスマッシュ(左)とゼブラロストスマッシュ。それぞれ才賀涼香、郷原光臣が変身します。
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▲東都の新知事となった、ブラッド族の伊能賢剛は、郷原・涼香とともに「ビルド殲滅計画」を実行。

自らも仮面ライダーブラッドへと変身して、圧倒的なパワーを示します……。伊能役は、勝村政信さんが演じています。

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▲伊能は、仮面ライダーブラッドへの変身によって、自らの野望である「地球滅亡」の実現へと、着々と近づいていきます。
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▲「仮面ライダービルド クローズビルドフォーム」は、その名のとおり、 クローズとビルドの力、両方を備えた形態。ビルドドライバーには今作で初登場 するアイテム クローズビルド缶が装填されていますが、どのような経緯で誕生するのでしょう か・・・?

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文/用田邦憲 劇場版「ビルド・ルパパト」製作委員会 ©石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映