鈴木おさむ

妻である森三中・大島美幸さんとの二人三脚の妊活に始まり、ご自身の育休取得など、出産から育児に関して常に注目を集める放送作家の鈴木おさむさん。そのブログから話題のトピックをまとめた書籍『ママにはなれないパパ』(マガジンハウス刊)が話題を呼んでいます。そこで単行本発売を記念して、これまでの育休や育児を振り返った思いを語って頂きました。前編は、主に鈴木家の子育て現場最前線について――。

 

考えもしなかった、授乳のときの“乳首痛い”問題


 

育児の“そうなんだ!”知ることが父親になる勉強のスタート

 

──子育てにまつわる人気ブログが一冊の本にまとまった感想は?

 

母親目線の育児本は数多くあるけれど、男性目線で見た育児記録って、あるようでないんですよね。ママからしてみれば“当然”のことでも、パパからすれば新発見のことがたくさんある。この本を通して共有するだけでも、ママが抱える育児のプレッシャーを少しは軽減できるんじゃないかと思っています。例えばですけど、「授乳で乳首が死ぬほど痛くなる!」だなんて、男は思ってもみないでしょ(笑)。ほほえましいい光景に、そんな壮絶なことが起きているとは僕は知りませんでした。そういう、“そうなんだ!”ってことを知っておくのが父親になる勉強のスタートだと思うんです。

 

 

──1年間休業して育児に向き合った中で、一番大きな発見は?

 

「子どもが生まれると、ママはごはんさえ食べられない」ということ。座る時間すらなくて、立ったままふりかけごはんとかばかり食べているママが多いらしいですね。母乳はママしかあげられないし、生れて間もない頃は父親が子どもにできることってそんなにないんですよ。だから、妻にしてあげられることを考えた結果、僕は食事作りをかって出ることにしました。煮物など栄養バランスのいいものをとにかく作りまくってましたね。

鈴木おさむ

──両手があかないほど忙しいけど、不慣れな夫に任せるのはもっと心配という奥さんも多いですよね。

 

らしいですね。家事はもちろん、子どものお世話に関しても「ママが1時間買い物に行ってる間だけ、パパが見てる」という段階から始めないと、ママ自身も不安なんですよね。うちの場合は、子どもが生後半年のときに妻が仕事復帰したんですけど、半年間、毎日僕も子どもと一緒にいたのに、復帰後すぐに強制的に6時間のママ不在の状態に晒されたときは、妻も心配そうでしたから。

 

0歳から関われたことで妻と子どもの信頼を得られた

 

──まずは大島さんの信頼を勝ち取るハードルがあったんですね。

 

そうやって妻不在の育休生活を送る中で、子どもを寝かしつける大変さは痛感しました。育休をとって良かったと思うことのひとつは、僕の胸が「ソファ代わり」にはなりえたこと。一番は妻の胸という「ベッド」。そこより寝心地は劣るものの、ベッドがないときにセカンドベッドになるソファが1個あるって、結構デカイと思うんです。だけど1歳を超えてから自分がソファになろうと頑張っても、難しかったんじゃないかな。0歳時代から寝かしつけの苦労をしたり、子どもと格闘してきた中で母子二人から、「おっぱいの出ない胸」に対して信頼を勝ち取ったからこそ、今がある気がするんですよね。

鈴木おさむ

今、息子は3歳になりましたが、眠いのになかなか寝付けないときも、パッと胸の上に乗せると赤ちゃんの頃に戻ったかのように眠りに落ちたりする。そういうとき、「0歳からずっと一緒にいて良かった」と心から思うし、これは一年間の格闘をしていないお父さんにはなかなか厳しいんじゃないかな。