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毎晩続く夜泣きにいつまでつき合うの…?トイレトレーニングが終わらない…!など、育児の悩みはつきません。

 

自分を追い詰めてしまう前に、他の国に目を向けてみませんか?日本では当たり前の育児論も、海外では誰も知らないなんてことも。視野を広げれば、気持ちがラクになるかもしれません。

 

日米での育児経験を元、知ってほしい海外の情報をお伝えします。

 

[過去の記事はこちらから]

第1回|

 

密室育児はもう限界…!でもアメリカは低月齢でも毎週、外出だって?

 

第2回|

 

隠れたキッズメニュー注文でスタバが親子のオアシスに!

 

第3回|

 

この夏ついに日本でも解禁の”液体ミルク”!そのメリットや上手な使い道は?

 

第4回|

 

米国ワーママの必需品"さく乳器"で母乳育児にもう悩まない!

 

第5回|

手作りはあり得ない⁉︎アメリカ育児の離乳食は市販がメイン

[ 第6回 世界でブームの離乳食]
離乳食「BLW(Baby Led Weaning)」って何?

離乳食が始まったけれど、食べなかったり好き嫌いばっかりでイライラ…!というママ、Baby Led Weaning(BLW)という離乳食を試してみませんか?日本ではまだまだ聞き慣れない言葉ですが、もともと2003年ごろからイギリスで流行した手法。現在はアメリカなど世界各国で取り入れているママが多いんです。赤ちゃんが食事に興味を持つようになるので、食べる量が増えたり好き嫌いがなくなったりするそうですが…いったいどんな方法なんでしょうか?

 

初期からいきなり固形物を手づかみで食べさせる!?


そもそも「Baby Led Weaning」とは、直訳すると「赤ちゃんに離乳をまかせる」という意味。この言葉が表すように、BLWは赤ちゃん自身の食べる力を育てる方法なんです。離乳食は初期からおかゆなどのすりつぶした食べ物を親がスプーンなどで与えるのが一般的。でも、BLWではなんと初期から赤ちゃんに固形のものを手づかみで食べさせるんです!

 

親がスプーンで食べ物を口に運ぶだけでは食材に対する興味は湧きづらいですし、嫌いな食べものを無理に口に入れられてしまうと赤ちゃんは食事への興味を失ってしまいます。しかし、最初から手づかみ食べにすると、赤ちゃんが食べ物を"食べ物"と認識するようになり「これはどんな味なんだろう?」と興味がわいて、好き嫌いが少なくなるんだとか。さらに自分のペースで食事ができるため、ストレスを感じることもありません。こうしたことで、「食事=楽しい時間」なんだと赤ちゃんに学ばせるというのがBLWの主な概念なんです。

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2児のママで下のお子さんの離乳の際にBLWを取り入れたママはそのメリットを実感。

 

「BLWをやっていない上の子とBLWをやった下の子の違いは、食べ物への興味が圧倒的に下の子の方が強いことですね。自分で食べることが当たり前だから、食事のときに手がかからないで楽です。また、自分の口に入る食べ物の量をわかっているので、上の子よりも喉に食べ物を詰まらせてえずくというのが少ない気がします」。

 

BLWのメリットはママにも。ペースト状の離乳食を作る手間が省けたり、何より離乳食を食べてくれない…!というストレスを感じないそう。多少食べなくても子どもが食事のときに楽しそうなので、「ま、いっか」とママもニコニコでいられるそうです。

 

ひとりで座れることが重要!誤嚥には注意を


BLWは離乳食と同じく、6ヶ月頃から授乳と平行して始めます。始める目安としては、一人で座れて指で食べ物がつかめることになること。姿勢がしっかりしていないと食べ物が喉に詰まってしまうことがあるので、ちゃんと座れるようになっていることは重要なポイントです。

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▲バンボなどのテーブル付きのイスを活用すると便利

またBLWでは、食べ方を学ばせるために親や兄弟と一緒に食事を取るのがよいとされています。下の子で実践していたママは「上の子が一緒に食べるのを見ていたので、食べ物を食べ物なんだと理解しているようでした。”これ何だろう?とりあえず口に入れてみよう、あれ?おいしい!”みたいな感じでぱくぱく食べていました」と話してくれました。

 

もちろん、最初のうちは食べ物で遊んで食べないこともあります。遊び食べをすることで食材の感触などを確かめているんだそうです。しかし、これにより食材に無駄が出てしまうことはデメリットのひとつ。

 

また食材が固かったり大きすぎると誤嚥の可能性もあります。そうした危険がないよう食事中は絶対に目を離さないこと、月齢にあった柔らかい食べ物を与えるようにするのが重要だそう。万が一のときのために、誤嚥の対処法を覚えておくと安心です。

 

また、これは離乳食と同じですがアレルギーがある場合には、お医者さんと相談しながら少しずつ様子を見ながら進めるのがいいとされています。

 

やわらかく茹でた野菜からスタート!


では、BLWではどんなものを食べさせていくんでしょうか?

 

始めたての頃は、歯茎でつぶせるくらいのやわらかさが目安だそう。やわらかく茹でたにんじんやさつまいもを細切りにしたもの、ブロッコリー、バナナやアボカド、イチゴなどを細かく切ったものがメニューとしておすすめされています。喉に使える恐れがあるので、ナッツ、レーズンなどの固いものやミニトマトなどを丸ごと与えるのはNGです。どんなものがいいかは、離乳食の本に載っている月齢ごとの食材をひとつの目安にするとよさそうです。

 

「BLWでは子どもが自分で手にとって食べられる大きさの物を与えるので柔らかいものを出しますが、大きさは最初から大きいですね。友達が生のパプリカとかを長細く切って8ヶ月の娘さんに渡していた時は「大丈夫?!」と心配しました(笑)」というBLWを行なっているママからのエピソードも。子どもの様子を見ながらある程度自由に与えているアメリカのママもいるみたいですよ。

 

ただ、赤ちゃんに自主的に食べさせると栄養が偏るのでは…?という心配が出てきますよね。BLWでは、赤ちゃん自身が自分の必要としている栄養素が入った食ベ物を選ぶのでまかせていいとも言われています。それでも心配なママは、普通の離乳食と併せて与えてみるのもひとつの手です。実際に「子どもの体重が平均以下だったので、私はおかゆをあげつつ平行してやっていました。BLWだけだと体重が増えるか少し不安だったので…」とアレンジしながら続けていたママもいましたよ。

 

残念ながら日本ではまだBLWに関連した書籍は発売されていませんが、実践したママのブログはたくさん見つかります。また「BLW food」で画像を検索すると食材や切り方などわかりやすい写真もでてきますので、興味を持ったママは参考にしてみてくださいね。

 

取材・文/阿部祐子