無表情な玉木宏は目で語る!

 

HiroshiTamaki
(C) 中村文則/講談社 Ⓒ2017「悪と仮面のルール」製作委員会

 

“邪”になる運命を背負っている、つまり、世間を悪に染める使命がある家系に生まれたのが文宏というお話がベースになっています。自らが悪になるだけでなく、なかなかの凶悪者からも狙われちゃったりします。“悪”が溢れる環境から逃れられない!という感じなのです。

 

冒頭から、クールな玉木宏が拝めます。整形手術後に自分の顔を鏡で確認するその瞳からは感情がまったく感じられません。自分の顔(といっても整形した顔なのですが)なのに、まったく他人の顔を眺めるように見つめるのです。無表情ですが、整形すること、つまり仮面をかぶることにより別人となって生きていくことを決意した強い意志は、その瞳から十分に読み取ることができます。

 

HiroshiTamaki
(C) 中村文則/講談社 Ⓒ2017「悪と仮面のルール」製作委員会

 

この作品の見どころは、感情を表に出さないダークな雰囲気を漂わせる玉木宏です。表情がないからこそ、手の動き、佇まい、声の変化、歩き方、そして、目線などから文宏の心を読む必要があります。どんな些細な動きも見逃してはいけない!と気づけば画面を食い入るように見ちゃいますよ。

 

原作者は海外でも人気の中村文則

 

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(C) 中村文則/講談社 Ⓒ2017「悪と仮面のルール」製作委員会

 

原作は、『土の中の子供』(2005年)で芥川賞を受賞した人気作家の中村文則の小説『悪と仮面のルール』。この作品、原作もおすすめで読み応えがあります。文庫版でも380Pを超えるたっぷりボリュームなので、読破にはちょっぴり気合が必要です。

 

中村文則は海外でも人気が高く、2012年には、なんとウォール・ストリート・ジャーナル紙で『掏摸(スリ)』の英訳版『The Thief』がベスト10小説にも選ばれ、2014年にはアメリカでDavid L.Goodis賞も受賞しています。まだ小説を読んだことがない!という方は、中村文則の描く世界観を知るために、まずはこの映画からとしてみるのもいいかもしれません。