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働くママのお子さんは、小学校に入学後は保育園のかわりに「学童保育(別名:学童クラブ、放課後クラブ、児童クラブなど)」に通うことがほとんどでしょう。 通常、小学校3年生くらいまでは希望すれば通い続けることができる自治体が多いですが、実は、年度の途中で学童保育を辞めてしまう「中途退所」児童の数は、年間4万人を超えるとみられています。 今回は、学童保育を辞めようと思うのはなぜ?辞めた後はどうしているの?などの疑問について、先輩ママへのインタビュー等もまじえてお送りします。

目次

ワーママたちが子どもの「学童保育」を辞める理由

小学校低学年ではまだ授業時間も短いので、両親の仕事が終わるまで数時間のあいだ、宿題をする時間があったり、おやつも食べさせてもらえたりする「学童保育」は欠かせない存在です。 ただ、いくつかの理由で、低学年でも学童保育が続けられなくなる場合があるといいます。主な原因をみていきましょう。

仕事の状況が変わった

近年、防犯上の理由から、保護者のお迎えが必要な学童保育が大半となっています。最初は6時にお迎えに行けていたのが、部署が変わったり、仕事を変えたりした結果、お迎えに間に合わなくなり退所せざるを得ないケースがあります。

費用が高額

保育園では、収入に応じて保育料が変動したり、兄弟姉妹の減額制度があったりしますが、学童保育でこういった制度を取り入れている自治体は少数のようです。 このため、下の子も小学校に入学すると、二人分の学童保育費用の負担が重くなり、辞めざるを得ないという人も。 また、保護者の体調不良や転職などで収入が下がると、家賃や食費で精いっぱいで学童保育代が払えなくなるケースもあります。

子どもが行きたがらない

大部分の学童保育所では、子どものために最大限の環境をととのえ、温かく見守ってくれるようです。いっぽう、特に都市部では常に定員いっぱい・待機児童がいる状態で、予算も限られているためギリギリの人数のスタッフで運営されていることがあります。

 

そのため、子ども同士のちょっとしたトラブルまで目が行き届かなかったり、けんか・意地悪などのケアが十分できなかったりする場合も。 雨の日などは建物に大勢の子が集まって過ごすため、静かな環境が好きな子には苦痛に感じられることもあるようです。

 

反対に、高学年の授業が終わる時間までは静かに過ごすことが決まっていたりすると、活発な子は思い切り走り回って遊べず、ストレスを感じるというパターンも。

先生・指導者の方針に疑問

2015年4月から、学童保育には、学童保育の専門資格を持つ「放課後児童支援員」を1名以上配置しなければならないと義務付けられました。

 

しかし、過去に学童保育で2年間以上勤務経験があれば研修のみで認可されるなど、かならずしも保育・教育の専門課程を学んでいなくても指導者になれるので、個人の資質によるところが大きいのが実情です。 厳しすぎたり、反対にすべて子どもたちに任せきりだったりと、もし指導方針が合わない場合、そのことが原因で退所に至るケースもあるようです。

保護者の活動が負担

学童保育によっては、活動費を増やしたり、交流を深めたりする趣旨で、地域行事やお祭りなどに参加することがあります。保護者同士が顔を知っておくと、何かの時に心強くプラス面も大きいですが、体調や仕事の事情により活動しづらい人も半強制的に参加しなければいけないことが負担で、子どもがある程度成長したのをめどに退所を考える人もいます。

「学童保育を辞めた!」体験談

実際に、1年生や2年生の時点で学童保育を辞めたお子さんのママに話を聞いてみました。

 

「入学してしばらくすると、朝、学校に行きたくないということが増えてきて慌てました。しかし、よくよく話を聞いてみると、学校というより、学童保育がイヤだということが判明。どうやら、上級生の特定の子に、先生が見ていない所でたたかれたり、意地悪をされていたようです。事情を説明してよく見てもらうようにお願いし、夏休みまではなんとか通いました。でも、たたかれることこそなくなりましたが、常に乱暴な言葉を言われたり、遊び道具を横取りされたり…ということが当たり前の雰囲気だったため、考えた末、9月から辞めることにしました。カギの管理、火の元など安全面にはじゅうぶん気をつけるように何度も練習して、今のところうまく行っています。子どももホッとしたようで、今はのびのび過ごしています。」(Hさん・34歳・1年生の男の子のママ)

 

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「娘が2年生になったときに学童保育を辞めました。その時点で、週に3回ピアノや習い事をしていて、1か月分の費用がもったいなかったうえ、役員をしないかと打診があって。夜遅くまでの会議や行事がとても増えると聞いていたので、下の子が小さかったこともあり、負担が大きいと判断しました。娘が行きたがっていれば続けることも検討したのですが、辞めてからは学童に通っていないお友だちとも遊べるようになって、今はむしろ喜んでいます。」(Fさん・37歳・2年生の女の子のママ)

学童保育を辞めた後の過ごし方

学童保育を辞めたあとは、「習いごとに行く」「自分で時間を決めて、宿題や好きな遊びをして過ごす」「友達と約束して遊びに行く」などの過ごし方をしている子が多いようです。 週のうち、2~3日は塾や習い事、1~2日はお友達と遊ぶ、何もない日はのんびり過ごすというように、それなりにリズムができてくるようですね。

 

もっとも大きな悩みである夏休みをどう過ごしたのか、先輩ママに聞いてみたところ、「夏期講習に参加した」「おばあちゃんのうちに長期滞在」「勤務時間を調整してもらえる職場だった」「同時に学童をやめるお友達がいたので、交互に休みをとって遊びに連れて行った」などで乗りきっていたとのことです。

 

注意する点としては、戸締りを忘れる・カギを忘れて登校し家に入れないなどの失敗や、子ども一人の時に来客・電話などに出てしまいトラブルになることなどが挙げられます。 また、時々、保護者が夜まで帰ってこない子の家にたくさんの子が集まって、何時間もゲームをしている…といった相談を聞くことがあります。

 

「大人がいないときは家に人を入れない」というルールを決めている家庭もありますが、逆に、「学童保育をやめた子が、連日家に遊びにきていて少し困る」というお宅もあり、バランスが難しいですね。 児童館など、雨でも遊べて大人の目がある場所を事前に見つけておくのも一つの方法です。

まとめ

先輩ママの話をきいていると、同じ1~2年生のお子さんでも、その子の性格などによって、学童に通い続ける方が安心な場合と、一人で帰ってお留守番しても大丈夫な場合に別れると感じました。 もしいま「学童、辞める…?」と迷っているなら、必ずしも学童保育に行くことだけが選択肢ではないと思いますので、お子さんの様子や安全面などをよく検討して、ベストな方法を選んでくださいね!

取材・文/高谷みえこ
参考:厚生労働省 学童保育サービスの環境整備に関する調査研究