男性が競争から降りるときの「がっかり感」をなくすには
── 今後、本当の意味で「男女平等」を実現するためには、男性、そして女性はどう変わっていく必要があるのでしょうか。
田中さん:
今のジェンダーの構造の中では、小さい頃から、男の子は「競争」に打ち勝って社会的に高い地位を築くことが重視されていて、女の子は「協調」してみんなと仲良くしたり、人のケアをしてあげたりすることが大事だという風潮があります。
ですので、男性や女性はこう変わるべき、というより社会全体で変わる必要があると思います。
ただ、女性に関してはここ10年くらい分かりやすい流れにあり、人気アニメなどを見ていても分かるように「みんなと仲良く」から「自分が前に出てもいいんだよ」という流れに変わってきています。いいことですよね。
しかしこの流れだと、男性も、もっと「自分が自分が」じゃなくて「人のためになるように」という流れになるはずなのですが、男の人が競争から降りると言ったときの「がっかり感」がまだ社会からなくなりません。たとえば主夫をしている男性に対しての多くの方の目線がそうですよね。
それを認めることが社会全体にとって必要なことのように思います。
育児休暇をとる前にどれだけ備えができているか
── 社会全体が変わるといえば、育児介護休業法が改正されましたが、男性が育休を取得するにあたり、どのような心構えが必要になってくるでしょうか。
田中さん:
育児休暇を取得する男性側の視点でみると、休みを取れば良いのかという単純な話ではありません。
「休暇を取る前にどれだけ備えが出来ているか」という点が極めて大事で、僕は、妻の妊婦検診などに夫がどれだけ付き添いしているかが重要だと思っています。
実際に妊娠ができない男性が、赤ちゃんが生まれる前から「自分が父親なんだ」という自覚を持つためにはそういった検診は貴重な機会です。また、生まれてからいきなり何かしようとしても事前知識がないと「役にたたない」という声に繋がってしまいます。
女性が得ているような知識や情報を男性も同じように仕入れて準備しておくことが重要だと思うので、父親学級的なサポートをもっと充実させて、必要性を訴えることも大事だと思います。