「思っていたのと違った」。理想と現実のギャップに悩み、仕事を続けるかどうかを悩む女性は少なくないようです。たとえば栄養士は、離職率の高さが長年の課題だといいます。
その課題を解決し、やりがいのある仕事を長く続けるためのプロジェクトが、給食事業を展開する株式会社LEOCで行われています。責任者の城 孝枝(たち たかえ)さんに詳しく伺いました。
「栄養士は体力勝負でキツい」という業界の常識を打破
── 栄養士や管理栄養士の働き方を支えるプロジェクトがあるそうですね。社員の声から生まれたと聞きました。
城さん:
「キラキラ栄養士プロジェクト」です。評価制度や子育て支援制度をはじめ、働きやすさ、やりがいにつながる人事制度づくりなどを進めています。
LEOCは、従業員の約半数を栄養士や管理栄養士が占めています。そのほか、総合職や調理師職があるのですが、栄養士関連が圧倒的に多いんです。また女性がとても多いことも大きな特徴です。
栄養士や管理栄養士は、病院や福祉施設など幅広い業態の食事にかかわり、活躍することが可能です。ただ、一方で「思っていたよりも体力勝負でキツい」「病院での栄養指導といった、他の仕事がしたいのに」などと、入社前のイメージとギャップを抱いてしまう女性が多く、離職率の高さが長年の課題です。
そこからどうしても「栄養士=3K」に近いイメージが生まれてしまい、なかなか払拭できていないことが業界全体の大きな課題にもなっています。
栄養士や管理栄養士がみずからの専門性と社会的地位を高めつつ、やりがいを持って長く働ける環境をつくるために、2018年に「キラキラ栄養士プロジェクト」がスタートしました。
── なぜ、栄養士や管理栄養士は業務へのギャップが生まれてしまうのでしょうか?
城さん:
仕事に対するモチベーションが下がってしまうのは、働く環境や仕事に対する評価など、さまざまな原因があると思います。女性栄養士であれば、家庭や子育てとの両立という課題もあります。そうしたなかでも、高いモチベーションで楽しく働ける環境を整備していくのが、「キラキラ栄養士プロジェクト」の狙いになります。
── やりたい栄養士の仕事を続けられるように制度や環境づくりをリードしているのが「キラキラ栄養士プロジェクト」なのですね。どんなふうに始まったのですか?
城さん:
2018年8月、LEOCの全国本部栄養士研修が福岡県で開催されたのですが、そこで「モチベーションの高い業界No.1の栄養士集団をつくりあげるためには」というテーマでグループディスカッションを行ったんです。
そのとき、参加者たち、つまり社員から「働きやすくするための仕組み」「新たな制度」「モチベーションアップのための取り組み」に関する様々なアイデアが提案されました。アイデア段階で終わらせるのではなく、実際に具現化していくために発足したのが「キラキラ栄養士プロジェクト」です。
当時の社長も参加し、社員たちの発表を聞いていたのでプロジェクトが始まるまですごく早かったですね。