モノの値上げが相次ぎ、食費などの支出はかさむばかり。節約に励む人も少なくないでしょう。「食材の使い方や、食料品の調達法を工夫するのがひとつの方法です」と、家計再生コンサルタントの横山光昭さんはアドバイスします。
“高い、安い”で買う判断をしてはいけない訳
さまざまなモノの値上げが発表されています。なかでも食料品が多くを占めているため、家計の圧迫は避けられません。
一方で給料は上がらないので、このままでは家計管理が難しくなります。
節約を考える際、よく「値段が高いものは見送り、できるだけ安いものを」と切り詰める話を聞きます。
しかし、「これは高くて買えない」「あれも高くて買えない」と、我慢することが前提です。結果、ストレスをため込み、節約に嫌気がさしてきます。
裕福でなくても高い食料品が買える夫婦の正体
私たちが家計相談を行ったご家庭のなかには、高い食品などを買っていながら、家計をうまくやりくりされている方がいます。
経済的に裕福だからというわけではありません。買った後の食材の使い方が工夫されているのです。
たとえば、高騰する野菜を買ったとします。その野菜をカットして小分け保存し、数日分の料理に利用して使いきる。ロスをなくすわけです。
そう心がければ、食材のムダがなくなり、買い物に行く回数も減るため、食費は必然的に安くすみます。
逆に、買った後の使い方を誤ったらどうなるでしょう。一度の料理で無理やり全部使ったり、腐らせてしまったら、たとえ安く入手できても、結局は損することになります。
食料品の価格を意識することは大切ですが、食材の管理や調理の仕方にも目を向ける必要があります。
毎日の料理に適量を適正に使うことが、結果的に節約につながるのではないでしょうか。
激安スーパーよりもお買い得な場所とは?
どこで買うかも工夫したいところです。穴場のスーパーや格安ストアなどで買うわけではありません。
利用したことがない方なら、「ふるさと納税」を活用してみてはいかがでしょうか。
応援したい自治体への寄附が節税につながると同時に、その地域の名産品をお返しにもらえる仕組みです。
受け取る返礼品には肉や野菜などの食品も少なくありません。
ふるさと納税の控除額には収入や家族構成によって異なる上限額が設けられているものの、実質2000円の負担でそれ以上の価値や量の品が届くため、非常にお得といえます。
横山家でも、ふるさと納税は毎年の定番行事。お米や季節の詰め合わせ商品がもらえる自治体に寄付することが多いです。
もうひとつ、フリマアプリの「メルカリ」を活用するのもいいかもしれません。
家計相談に訪れたお客様から聞いた話ですが、訳ありの果物を農家さんが直接メルカリに出品。これが安くて美味しいとのことでした。
野菜、果物などの訳あり品は、楽天市場やクラウドファンイングなどでも入手可能です。市場には出回らないお買い得品だからこそ、狙い目となるわけです。
モノの値上がりをマイナスと捉えている人は多いでしょう。けれど、知恵を絞って工夫すれば状況は一変するはず。
そういう意味では生活者の腕の見せどころであり、楽しく乗りきれる人とそうでない人で差が生まれると思います。
監修/横山光昭 取材・構成/百瀬康司 イラスト/村林タカノブ