最近、鉄道を主役にしたアニメが増えています。今回紹介する『新幹線変形ロボ シンカリオン(シンカリオン)』もそのひとつ。新幹線がロボットになって敵と戦う姿はアニメ好きはもちろん、鉄道ファンにとってもたまらないでしょう。今回は『シンカリオン』に登場する新幹線を詳しく解説します。主役となる新幹線を知っておけば『シンカリオン』がより楽しめること間違いありません。
そもそも『新幹線変形ロボ シンカリオン』とは?
最初にアニメ『シンカリオン』を簡単に紹介しましょう。『シンカリオン』は2015年にジェイアール東日本企画、小学館集英社プロダクション、タカラトミーの3社によって立ち上がったアニメ・プロジェクトです。2018年1月からTBS系列でテレビ放映が開始されました。また、アニメだけでなく『シンカリオン』の玩具も販売されています。
『シンカリオン』は日本が誇る新幹線がロボットになったものです。日本の平和と安全を守るために『シンカリオン』は敵と戦っています。現在、JR東日本の新幹線だけでなく、JR東海、JR西日本、JR九州の新幹線も『シンカリオン』に参戦。2018年現在、12種類以上の『シンカリオン』が登場しています。今後もテレビやインターネットはもちろん、さまざまな形で『シンカリオン』が活躍するでしょう。
『シンカリオン』に登場する新幹線は?
ここからは『シンカリオン』に登場する主な新幹線を紹介します。
『シンカリオン』の主役E5系「はやぶさ」
最初に紹介するのは主役の速杉ハヤト君が運転するJR東日本所属のE5系「はやぶさ」です。E5系「はやぶさ」は東北新幹線の新青森駅開業に合わせて2011年にデビューしました。現在は「はやぶさ号」として、新青森駅を越え、北海道新幹線の新函館北斗駅まで走っています。E5系「はやぶさ」の自慢はなんといってもスピード。最高時速は国内最速の時速320キロです。
また、E5系「はやぶさ」はカーブを快適に走るため、車体を1.5度ほど傾けることができます。 車内は従来の普通車、グリーン車を上回る最上クラス「グランクラス」を導入したことが特徴。まるで航空機のビジネスクラスを思わせる座席は多くの鉄道ファンの注目を集めています。なお、E5系とほぼ同じ形をした車両、H5系はJR北海道所属の新幹線です。
北陸発の新幹線、E7系「かがやき」
次は日本屈指のゼネコンを目指す大門山ツラヌキ君がパイロットを勤めるE7系「かがやき」です。E7系は北陸新幹線向けの新幹線車両として2014年にデビューしました。北陸新幹線はJR東日本とJR西日本が運営しているのが特徴。そのため、JR東日本所属の車両は「E7系」、JR西日本所属の車両は「W7系」を名乗っています。現在、E7系は「かがやき号」をはじめ、北陸新幹線(東京~金沢)で活躍しています。
E7系「かがやき」の特徴は勾配に強いことです。北陸新幹線には30パーミル(1000mに対し30mの垂直距離)の勾配があります。この急勾配を下る際、E7系「かがやき」は抑制ブレーキを使用。時速210キロの回生抑速ブレーキを使って安全に峠を下ることができます。また、時速210キロから電気ブレーキを使わず、空気ブレーキのみで停車できるのもE7系「かがやき」の特徴と言えましょう。
また、北陸新幹線は周波数50Hzと60Hzが混じっているところを走ります。そのため、E7系「かがやき」は両方の周波数に対応しています。E7系「かがやき」の最高時速は275キロ(北陸新幹線内は260キロ)ですが、他の新幹線にはない器用な新幹線といえましょう。
未だに人気は衰えない、500系「こだま」
現在でも最もユニークで最も未来的な新幹線といえばJR西日本所属の500系「こだま」ではないでしょうか。戦闘機を思わせる先頭車のスタイルは今でも鉄道ファンはもちろん、多くの人々から注目されています。もちろん『シンカリオン』でも500系「こだま」は登場していますよ。作品ではわずか4両で「シンカリオン」に変身します。
500系は当時の国内最高時速300キロを目指す車両として、1997年にデビューしました。1997年11月には「のぞみ号」として東海道新幹線にも乗り入れています。登場時は「のぞみ号」にふさわしい16両編成でした。ただし、コストが高くついたので、わずか16両編成×9本の製造にとどまっています。
しかし、独特の形をした先頭車の定員は他の新幹線車両と比べると少なく、次第に「使いにくい車両」になりました。2010年に「のぞみ号」から引退。その後8両化され、現在は山陽新幹線「こだま号」の専用車両として活躍しています。2015年にはアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』とタイアップ。1編成が「500 TYPE EVA」として『エヴァンゲリオン』をイメージした装飾が施され、2018年5月13日まで山陽新幹線で活躍しました。ところで「500 TYPE EVA」は『シンカリオン』にも登場しています。見逃した方はもう一度チェックされてはいかがですか。
取材・文・撮影(こだま)/新田浩之