食べられるはずの食品を、さまざまな理由で捨ててしまう「食品ロス」。家庭から「食品ロス」を出さないために、フリーアナウンサーの中村仁美さんが、普段から心がけていることは?食材を使い切る工夫、賞味期限が微妙に切れた食品の扱い、息子さんが収穫してきた大量のさつまいも…。等身大のエピソードを伺いました。

忙しくても「まとめ買い」はしない訳

── 小さいお子さん3人を育てる中村さん。多忙だと思いますが、意外にも「まとめ買い」はされないそうですね。

 

中村さん:

そうなんです。基本的に食材は、その日に食べるもの、調理するものを購入します。

 

まとめ買いをするとしても、せいぜい翌日か翌々日に食べる程度の分。

 

お肉などはまとめ買いして冷凍しておけば便利だと思うんですけど、私の場合は調理するタイミングが難しくて。

 

明日は冷凍肉を使おうと、前日から冷蔵室で解凍しておいても、次の日になったら気分が変わったり、家族の都合で予定が変更になることもしょっちゅう。

 

電子レンジで解凍しても、いまひとつ均等に熱が入らなかったりして、案外難しい…。そんなことを繰り返すうち、お肉の冷凍保存はしなくなっていました。

エコバッグ
食材は使い切る分だけ購入する

── そもそも冷凍ストックしたのを忘れて放置してしまう、ということもありますよね。

 

中村さん:

お肉の冷凍ストックがあることをすっかり忘れて、気づいたら2年くらい経ってしまったという失敗をしたこともありますからね…。

 

私の場合は、まとめ買いが結果的に食品ロスを生みかねない。だから、使い切る分だけをこまめに買うようにしています。

 

── 経験にもとづいた説得力ある結論ですね。お肉は使い切るとのことですが、野菜はいかがでしょう。どのように使い切っていますか?

 

中村さん:

うちの場合、野菜を使い切るのにスープは万能ですね。

 

いろいろな種類の使いかけ野菜をたっぷり入れて煮込んでスープにしてしまえば、子どもたちはすごく食べてくれます。

 

とくに子どもたちはラーメンの味が好きなので、鶏ガラスープとお醤油で中華風に味つけをして、そこに少し豚肉でもたせば、どんな野菜でも完食してくれます。私としても栄養満点でありがたい一品です。

具沢山な汁物
子どもたちに人気の具だくさんな汁物は、野菜の在庫一掃に大活躍

チンゲン菜とワカメを一緒に調理することもよくやります。みんなワカメが好きなので、チンゲン菜を小さく切ってワカメと一緒にすると、どちらがどちらかよくわからなくなるのか、見事に騙されて食べてくれます(笑)。

扱いに困る賞味期限切れの食品は…

── 賞味期限切れの食品の取り扱いはどうされていますか?

 

中村さん:

賞味期限が微妙に切れたものが残ってしまうことは、たまにあります。

 

だけど夫は、そういうものにとても敏感。それを食べたせいで自分が体調不良を起こして、仕事の現場に迷惑をかけたらいけないという意識も強いですね。だからそういったものは私が食べることが多いです。

 

── 中村さんもお仕事に穴を空けるわけにはいかないはずなんですけどね(笑)。

 

中村さん:

そのはずなんですけど、やっぱりもったいないですしね。少しくらいの賞味期限切れの食品に関しては、私は食べるようにしています。

 

── 賞味期限は、あくまでおいしく食べられる期限であり、安全に食べられる期限を示した「消費期限」とは違いますからね。

 

中村さん:

そうですよね。私は、賞味期限切れの食品は、何かと一緒に炒めるなど、一度火を通して食卓に出すようにしています。

 

でもあえて「賞味期限切れの食品を使った料理だよ」ということは言いません。言ったら絶対に気にする家族なので(笑)。

「俺のとってきた芋まだあるだろ?」に逆らえず

── 息子さんが芋掘り遠足で収穫してきた大量のさつまいもにも苦労されたとか。

 

中村さん:

子どもはいっぱい掘れたことが嬉しいし誇らしいから、全部を持ち帰るんですよね。その気持ちはとってもよくわかります。

 

でも、本人はさつまいもが嫌いなんですよ!なのに「俺のとってきた芋まだあるだろ?」みたいなことを言うんです。


── それは、絶対捨てられない!

 

中村さん:

みなさんもそうだと思うんですが、私も手を変え品を変え、さつまいもを使った料理を作りました。スイートポテトにしたり、ごぼうと混ぜてきんぴらにしたり、焼き芋や甘露煮にしたり…。

 

そうすると、「今日のこのメニュー、俺のあの芋だよね?」と嬉しそうに言うわけです。だけど、食べない(笑)。どうにかこうにか、全部使い切りましたけど、本人が食べたのはきんぴらくらいでしたね。

 

結局、焼き芋などは、ひとりでいるときの私のお昼ごはんになるというのが常でした。

 

── ここでもやっぱり中村さんの出番!だけど、自分のとってきたものを中村さんがせっせと料理してくれて、残さず食べてくれたという経験は、今はわからなくても、いつかきっと嬉しい思い出になりそうです。

 

中村さん:

そうだといいですけど、自分が嫌いなものをどうしてそんなにとってくるの!と思ってしまうのも本音です(笑)。

 

末っ子が2歳だから、今後もまだ芋掘りの機会はありそうです。そのたびに私のひとり焼き芋ランチの回数が増えるのかもしれません(笑)。

 

PROFILE 中村仁美

1979年大阪府出身。2002年、お茶の水女子大学生活科学部を卒業し、フジテレビにアナウンサーとして入社。2011年に結婚し、2017年退社。現在はフリーアナウンサーとしてテレビやラジオ、イベント等幅広く活動を続ける傍ら、3児の母として多忙な日々を送る。夫はお笑いコンビ「さまぁ~ず」の大竹一樹さん。

取材・文/井上佳子 画像提供/中村仁美 イラスト/えなみかなお