仕事や育児に毎日を頑張るけれど、自分に優しくできない人が主役の漫画がSNSを中心に人気を集めています。疲れてしまった身体と心を癒やし、前向きな気持ちにさせてくれる漫画を描いているのは、イラストレーターのあきばさやかさん。

 

3歳と0歳の2児の母でもあるあきばさんに自身の育児や仕事、これからの目標についてお聞きしました。

便利なサービスはどんどん使う

── 今は、3歳と0歳のお子さんの育児中だそうですね。お仕事はどうされていますか?

 

あきばさん:

産後すぐに復職しました。家事代行サービスやベビーシッターさんなど便利なサービスをいろいろ活用しながら続けています。どうしても仕事の本数は減ってしまいますが、自営業なので仕事をしないと無収入になってしまうんですよね…。

 

また、今は収入の多くがそういったサービスの費用に消えてしまうので、「何のために働いているんだろう…」と思ったりもしますが、社会とつながる意味でも自分には大事で、仕事を続けています。

あきばさん漫画6
漫画「育児に疲れたママが不思議な世界へ招待される話」(『スパあんこうの胃袋』第2話)より

── 仕事を頑張る原動力は何ですか?

 

あきばさん:

やっぱり読者の方からの反応がすごく嬉しくて、大きなエネルギーになっています。それに、漫画を描くのが好きなので、逆に描くことで元気になっています。

 

第1子の産後は、しっかりと休んだんですよ。クライアントにも「休みます」と宣言して。でも、世界が閉ざされていると感じてしまって、辛くて、赤ちゃんと2人だけの日常もちょっぴり怖く感じてしまって。第2子の出産では、子育てしながら、できる範囲ででも仕事を毎日しようと決めたんです。

長男との向き合い方で試行錯誤中

── あきばさん自身は、育児と仕事の毎日でうまくいかないなあと思うことはありますか?

 

あきばさん:

現在進行形なのですが、3歳の長男が一筋縄でいかなくなったというか…。意思が強くなって言うことも聞いてくれないし、注意しても右から左だし、知恵もついてきて。ほめ方や叱り方をどうすればいいか日々悩んで、元保育士の母に相談することも多いです。

 

また平日の夜は基本ワンオペ育児なので、長女が昨年9月に生まれてからは本当にもうドタバタで。

 

長男をかまってあげられる時間がなかなか取れなくて、トイレトレーニングも苦戦しています。上の子との付き合い方がすごく難しいなと思っています。夫とよく育児について話し合いをしますが、2人でうんうんうなっています(苦笑)。

 

── わかります。私も女の子二人ですが、次女を出産後、長女との向き合い方ですごく悩みました。長女の「私を見て」という気持ちに応えてあげたくても、「今は無理だあ」となってしまうことが多くて。

 

あきばさん:

長男も困らせようとしているわけではないし、気持ちが痛いほどわかるけれど、手がたりないんですよね。今は悩みながら試行錯誤しているところです。

 

── 逆に育児で楽しいと思う瞬間はありますか?

 

あきばさん:

たくさんあります。子どもたちの行動はすごく面白くて、毎日が奇想天外で、楽しく育児をしています。長男がキラキラした目で新しい世界と出会うのを横で見ていると、なんだか私も人生をもう一度やり直しているような感覚があります。

 

「天気が良い日の芝生って最高だよね」「雪が降るとわくわくするよね」「かるたって楽しいよね」とか…日々の小さなワクワクを一緒に再体験させてもらっている日常が楽しいです。

 

息子がいなかったら知らなかった世界もありますね。電車の名前にこんなに詳しくなるなんて思わなかったです(笑)。

 

「土曜日の朝はホットケーキパーティしよう!」とか、「今週末はがっつりダンボール工作をしよう!」とか週末に小さなイベントを計画するのも楽しいですね。

ママは自分を甘やかす優先度を上げて

── あきばさんが疲れたときにリフレッシュする方法はありますか?

 

あきばさん:

今は漫画を描いているときがいちばん幸せです。読者の方から反応をもらったりできるのもすごく嬉しいですし。

 

授乳中でもともと大好きなお酒もコーヒーも飲めないし、産前は着物を着るのが好きだったんですが今は難しいので、漫画を描くことがいちばんのリフレッシュになっていますね。

あきばさん漫画7

── 今後、描きたい漫画ややりたい仕事はありますか?

 

あきばさん:

創作漫画はずっと描いていきたい

です。

 

いつか子ども番組などに携われたら嬉しいな…という夢もあります。

 

あとはブログですね。

 

ありがたいことに独身時代の話を描いていたときから読み続けてくれている読者の方もいて、ずっと一緒に年をとっていけたらな、と思っています。

 

私のまわりの少し年上の先輩ブロガーさんも、育児が手を離れても介護や自分の健康のことなど、身近なことを発信し続けているんです。私も先輩たちの背中を見ながら自分の経験を読者の方に共有していけたらと思っています。

 

めざすは「生涯ブロガー」です!

あきばさん漫画8

── 読者の多くは自分のことそっちのけで、仕事と育児の両立に必死だと思います。無理しすぎず仕事や育児を楽しむためにはどうしたらいいでしょう?

 

あきばさん:

私自身も試行錯誤中なのですが、自分が満たされることが大事だと思っています。そうでないと、家族にも優しくできないと思うんです。自分を甘やかす優先度を上げてほしいです。

 

第1子の出産後、自分を犠牲にしてでも子育てをするのが良い母親だと思い込んでいた時期があったんです。オシャレもしないで、自分のことは後回しにしていました。でも、結局、イライラして家族にあたってしまうというよくわからない状況になってしまって。

 

もし今、自分をないがしろにして「疲れちゃったなあ」という人がいたら、家事など手を抜けるところは抜いて、自分の気持ちが上がることを生活に取り入れてほしいと思います。自分が楽しいと思えることを取り入れることが大事ですよね。結果、私も以前より家族にも笑顔で向き合えるようになれたと思います。

 

PROFILE あきばさやかさん

宮城県生まれ、東京在住。仙台の広告会社で5年間OLを経験したのち、イラストレーターに。ライブドア公式ブログ「あきばさやかの人生ケアレスミス」では、日常のひとコマを漫画で綴っている。著書に『おしゃれなママっていわれたい!』(マイナビ出版)、『マンガでわかる Excel』(KADOKAWA)などがある。

取材・文/高梨真紀