グループLINEと高齢者

家族間の連絡にLINEグループを利用している方、とても多いのではないでしょうか。

 

上は80代、下は10代まで年齢の幅広い我が6人家族も、日々便利に使っています。なかでも最年長の義父のLINE活用法は少々独特で…。

ドライな子世帯と寂しそうな義父

私と夫、そして16歳の息子間の連絡は、必要最低限でどちらかと言えば事務的なほう。ちなみに娘はこの春、中学生になるのを機にスマホを持つ予定です。

 

仕事のシフトが不規則な夫ですが、特に私が「義父母が何度も私にあなたの出勤予定を聞いてくる、頼むからLINEグループで予定を共有して」と言い続けた結果、ようやく休日や帰宅の予定を書き込んでくれるようになりました。

 

私も、外で仕事をしている日はなるべくマメに帰宅予定時間など知らせるようにしています。が、根が筆無精のため、どうしても事務的な連絡になりがちです。息子は思春期真っ盛り、何か聞いても既読スルーか、必要最低限の返事。

 

そんな比較的ドライな子世帯メンバーと違って、意外にもLINEでの交流に積極的なのが親世帯の義父母です。70〜80代という高齢者でありながらも、慣れないスマホを使って、かなり密に連絡をとってくれます。

 

義母は仕事でタブレットを使った経験もあり、文字の入力はもちろん、絵文字やスタンプも使いこなしています。世話好きな性格も相まって、「これから帰りますが昼ごはんは何か買って帰りますか?」「今日は何時に帰ってきますか?夕飯はいりますか?」などとマメに連絡をくれます。

 

問題は、家族最高齢である義父。

 

我々子世帯と、週に何度か仕事をしている義母はLINEグループで帰宅予定などを打ち合わせる必要があります。しかしリタイアして悠々自適、毎日が日曜日の義父は、基本的に誰からも予定を尋ねられることがありません。

 

もとより非常に几帳面な性格の義父は、外出予定などがあると何日も前から家族に何度も伝えてくれますし、特にLINEで聞く必要がないのです。が、義父はそれでは寂しいようなのです。

LINEグループで浮く義父の独り言

「19時頃に帰ります、夕飯お願いします」「駅に着くのは20時ごろです、お迎えお願いします」

 

などの連絡は、家で待つ家族も今か今かと待っているので、すぐに誰かしらからの返信があります。

 

しかし、義父から主に日中に送られてくる

 

「いま病院です。14時には終わります」「畑に行ってきます」「16時のバスに乗りました」「雨が降ってきました」

 

などのメッセージは、

 

  • 誰に伝えたいのかわからない
  • 他の家族が忙しくしている時間帯に送られる
  • そもそも誰かが対応する必要がない

 

などの原因により、つい既読スルーされがちなのです。

 

私も気づけば「そうなんですね(笑顔の顔文字)」のひと言くらいは返信してあげなければ…と思うのですが、日中の忙しさに紛れてついついスルーしてしまいます。

 

そして後に続く家族の帰宅予定やシフト予定などの必要事項の連絡、それにはちゃんとつく返信…。

 

あぁ、義父の寂しそうな背中が目に浮かびます。

高齢者、そもそもスマホ見ない問題

また、これは義父母共にあるあるなのですが、

 

「自分からLINEでメッセージを送ってきておいて、送られてきた返信は見ない」

 

という問題もあります。

 

帰宅した私の顔を見て

 

「あら帰ってきたの?何時に帰るかLINEで聞いたのに!」「いや、すぐ返信しましたよ?」

 

というやりとりを、義母と何度繰り返したでしょうか…。

 

また、義父母とすぐに連絡を取りたいからメッセージを送ったのに既読にならない…それならばと携帯に電話をかけても繋がらない…なんていうことも非常によくあります。

 

忙しくて出られないのならばいいのですが、音信不通の原因のほとんどは、スマホを忘れて外出したとか、他の部屋にスマホを置きっぱなしだったとか、何もしていないのになぜか勝手にマナーモードになっていた(義父・談)というもの。

 

そう、そもそも高齢者は、肌身離さずスマホを持ち歩くという習慣がないのです…。

 

そんなわけで、すぐに義父母と連絡を取りたいときは固定電話に電話をかけます。スマホは見ない義父母でも、固定電話が鳴ると無視はできません。

 

無料通話とか、既読機能とか、あらゆるスマホの便利機能に打ち勝つ固定電話の呼び出し音。

 

無力感に苛まれるデジタル世代の子世帯なのでした。

文/甘木サカヱ イラスト/ホリナルミ