愚痴を言いたくなくてもつい言ってしまうことは、ありませんか?できるだけ楽しい会話をしたいですよね。心理学も学び、話し方教室を運営する西任暁子先生、人生を楽しむ会話術を教えてください!
愚痴る人から学んで楽しむ
── 会話を楽しむうえで愚痴はあまり歓迎されにくいと思いますが、どう対応されますか。
西任さん
そうですね。長時間、愚痴を言う人との会話は楽しいものではありませんね。それなら楽しくしてみるのはどうでしょう?
会話を楽しむ方法はいろいろあります。「どうして、この人はこんなに愚痴を言うのか」と探求することも1つの方法です。わからないからこそ、率直に相手にたずねてみるんです。
相手は、愚痴を言うのが楽しいのかもしれません。そうしたら、愚痴が楽しいとは、どういう心理なのだろうとまた会話が進んでいきます。自分の心をオープンにしていると、会話にはいつだって新しい発見がいっぱいです。
これまでの自分にない感覚を持つ人に出会えるのって、楽しいなと思います。愚痴を言うのが楽しいって、一体どんな感覚なのでしょう?もし相手が「スッキリするのよ」と教えてくれたら、自分の場合は、確かに言った瞬間はスッキリするけど、あとから自己嫌悪になる。そういう時はどうするんだろう?と聞いて教えてもらうこともできますね。
「自己嫌悪にならないよ」と言われたら、自分にはまったくない考え方を聞かせてもらえるかもしれません。新しいその人の一面に出会うこともできます。それはとても面白い会話になっていくでしょう。
もし、人生を楽しむ会話術があるとするならば、それは自分自身が会話を楽しむことです。楽しくない会話なら、楽しくしちゃう!相手のことを決め付けないで、自分の純粋な興味をたずねたり、自分の心で起こっていることを正直に伝えられたら、会話はきっと楽しくなります。
愚痴が出るのは不満を抑えているから
── 言いたくないのに、愚痴ばかり言ってしまう人はどうしたらいいのでしょう。
西任さん:
周囲の人にお願いすることはいかがでしょうか。「愚痴を言いたくないけれど、言ってしまうんだ。だから次、私が愚痴を言っていたら教えてほしい」と。
愚痴を言う人は、不満が溜まっているのだろうと思います。その不満を抑えているから、友達や家族など、不満を出して良いと思う場所で愚痴となって、噴火するんですね。
不満は蓋をするのではなく、その不満を見て、理解してあげられたらいいですね。紙に書き出してみるのはオススメです。絵でも文章でもなんでもいいから、今の自分の気持ちを書いてみる。それだけでスッキリしたり、自分が何に不満を感じているのかがわかって、心が溶けることもあります。
不満を溜めてしまうと、出る時はいわば火山の噴火状態ですから、一度流れ出すと止めることが難しいでしょう。愚痴をやめたいならば、心の不満を理解すること。必要な場合は、専門家の助けをお借りするのもいいと思います。そのうえで、周りに「本当は愚痴をやめたいけれど、自分では愚痴っている時は気づけないんだ。やめたいから、愚痴っていたら教えてくれないかな」と伝えておくと、まわりもあなたの気持ちを理解して、協力してくれるんじゃないかと思います。
困っている人がいたら、サポートしてあげたくなるもの。心を開いて、周りの人たちの力を借りられたらいいですね。
PROFILE 西任暁子
ニシトアキコ学校主宰、スピーチコンサルタント、ラジオDJ、アメリカへ高校留学後、慶應義塾大学在学中にラジオDJデビュー。東京FMなど全国32のラジオ局で番組を担当。15年間でインタビューした国内外の著名人は5000人を超える。スピーチやコミュニケーションについて伝えながら心理学や哲学などを探求。著書に『話すより10倍ラク!新 聞く会話術』など。
取材・文/天野佳代子 写真提供/ニシトアキコ学校事務局