洗濯機の掃除は塩素系や酸素系かで迷う女性

洗濯機に洗濯槽クリーニング機能があると言っても、カビが蓄積して汚れが落ち切れているか不安になるのが「洗濯槽」の掃除。しかし「洗濯槽は自分でしっかり洗えます」と断言するのは汚れ落とし研究家の茂木和哉さん。今回は茂木さんに洗濯槽の洗い方について解説してもらいます。

家族が多い、赤ちゃんがいる家庭は洗濯槽のカビに要注意

── おろそかにしがちな、洗濯機の掃除。大掃除など、年1回程度は行ったほうがいいでしょうか?

 

茂木さん:

汚れ方の違いや求める清潔さで変わってくるので一概には言えません。月に1回ほどこまめに掃除をしていれば、大掃除も毎月の掃除と同じように行えば十分だと思います。

 

ただ、ふだんから洗濯槽を掃除していない、洗濯回数が多い、皮脂汚れがつきやすい仕事やスポーツをする家族がいる、肌が弱い家族や赤ちゃんがいる、という場合はやるべきでしょう。

 

洗濯槽を清潔に保っていないと、カビによる健康被害にも影響してきます。カビのある洗濯槽で洗濯を続けると、肌トラブルにつながる可能性もありますから。

 

── 洗濯槽の掃除には、どんな洗剤を使えばいいでしょうか。

 

茂木さん:

汚れがひどければ、洗浄力が強い塩素系漂白剤の洗濯槽クリーナーを。そこまで汚れていなければ、酸素系漂白剤の洗濯槽クリーナーを使います。また、酸素系漂白剤がない場合は過炭酸ナトリウムでも代用できます。

縦型?横型?洗濯機のタイプで掃除方法は異なる

── 洗濯状況や汚れ具合によって使い分けたらいいのですね。それでは具体的に洗濯槽の掃除方法を教えてください。

 

茂木さん:

市販の洗剤はパッケージに記載されている洗い方を実践すればOKです。ここでは、過炭酸ナトリウムを使う場合のおすすめ方法を教えますね。

 

縦型洗濯機はまず高水位まで4050℃のお湯を張り、過炭酸ナトリウム500グラムを入れます。10分ほど洗濯機を回したら、いったん止めてフタを閉めてひと晩放置。翌日、そのまま洗濯機を5分ほど回すと洗濯槽に残っていたカビが出てきます。

 

その後は排水して、水を貯めてまた10分洗濯機を回して排水。この工程を2回繰り返してください。これでも汚れが出てくるならすすぎの工程を1回行います。

 

ドラム式洗濯機はバケツで50℃くらいのお湯を少しずつ入れていき、たまった分のお湯10リットルに対して、過炭酸ナトリウム100グラムを入れます。あとはフタを閉めて洗濯槽洗浄コースボタンを押し、終わったら浮いてきた黒カビをすくって取り、また同じ工程を行います。

 

やはり縦型に比べてドラム式は洗いにくいので、こまめに洗っておきたいですね。

洗濯機掃除をすべきか悩む女性

「黒カビが浮かないから落ちていない」とは限らない

── 塩素系洗剤と酵素系洗剤を使い分けるうえで、注意点はありますか?

 

茂木さん:

まず、特定の洗剤が使えない洗濯機もあるので、取扱説明書を先に確認することが大切です。

 

また、酸素系洗剤を使うと表面にワカメのように黒カビがプカプカと浮いてきます。一方で、塩素系洗剤の廃液は白っぽくてキレイで、表面にも黒カビも浮いてきません。これは洗浄力が強すぎて黒カビさえも分解されているからなんです。これを見て「酸素系は汚れが落ちて塩素系は汚れが落ちない」と判断するのは勘違い。

 

汚れがひどいのに酸素系洗剤を使って掃除をすると、黒カビが落ち切れずに次の洗濯時に洗濯物にくっついてくることもあるので、注意してください。

 

※今回紹介した掃除方法は茂木さんおすすめの方法です。住宅設備などによって然るべき掃除方法が異なる場合がありますので、それぞれ利用上の注意などを読み、各自の判断で行ってください。 

 

PROFILE 茂木和哉さん 

秋田県出身。独学で掃除と洗剤作りを学び、汚れ落とし歴25年の経験を活かして情報発信や自分の名前をつけた洗剤を多数開発。著書に『茂木和哉 落ちない汚れをラクに落とす掃除術』がある。 

取材・文/秋山悠紀 イラスト/かりた